2006年05月19日 (金)

解体跡地隣家の側面

さなえ

よく建物の解体が行われるとその解体跡地に隣接していた家屋の側面が剥き出しに現れて無惨な印象を与えることがある。特に解体側の土地の建物が先にあって、隣接側が後に建てられ、互いに敷地目一杯に建ってる場合など、後に建てる側はさほどその外見を気にしなくてよい性質上、どうしてもなおざりになってしまいがちなものだ。

事実、三鷹金猊居も都市計画道路問題で背後がざっくりえぐられたときには納屋を増改築した部分が道路側に面してしまって、かなり情けない感じになってしまったし、現在の谷中の家も南西側のK山邸との境界壁面に排水管や雨樋等が集中し、決して見栄えの良い見た目とは言えない(今思えばもうちょっと仕掛けを考えるべきだった)。

しかし、上記写真の曙ハウス跡地のお隣さんはどうだろう? なかなか以て趣のある佇まいをしているではないか? 1Fには「さなえ」という居酒屋が入っていて、左手に見える道路面がその入口になっている。一見するとこの写真を正面としたとき、それなりに奥行きのある建物にも見えるかもしれないが、実際のところは奥行き一間強くらいの薄く平べったい建物なのだ。というか、正しくお店玄関を正面と見なせば鰻の寝床のような建物だといってもいいくらいである。

さて、もう一度写真に撮った面に目を向けると、やはり何といってもこの予期せぬ形で現れた側面ファサードをユーモラスに仕立て上げているのが左右形を違えて突き出した2階の増築部分だろう。これを増築した住人や職人がどこまで意識したものかはわからないが、波板トタンの配し方といい(特に右手トイレ部分と思われる小窓に斜めに取り付けられたトタン、これが非常に効いている)、窓枠の位置バランスといい、トイレ小窓下のなぜか壁の外に出てしまった左右が反対の黒L字といい、全体の色味といい、とにかく絵として面白い(neonさんもこれを見て描きたいと言われていた)。そうそう、上階の増築突き出しという点では軍艦アパートの「出家(でや)」と共通するところもあるように思うが、それについてはまだちゃんと書いてないので、また後日。

ちなみに曙ハウス跡地に何が建つかはまだ未定(2006年5月現在)のようなので、今暫くはこの側面を半ばファサードとして見ることができるだろう。いつかの日か neonさんの作品にどこかで見たことがあるような・・と思っていたら、この建物がモデルだったな〜んてこともあるのかもしれない(笑)

by m-louis : 2006.05.19 12:17
comment

おはようございます。おかげさまで個展無事終了しました。
ところで、そうです、ここ。必ず描くと思います。なかなかよく見ると素晴らしいですよね。橋本の、頂いたCD-ROMのほうもゆっくり拝見して、また描こうと思いめぐらしております。今回の展示を見た方で、「こういう建物を見るとみんなあなたの画に見えてくるね」という感想が多く返ってきたのが面白かったですね。

by neon : 2006.05.31 09:41

>neonさん
個展終了おつかれさまでした。
たぶん終了間際に母も滑り込んでると思うのですが、実は私と姓が違うもので、芳名帳ではどれが母かはわからないかもしれません(笑)
この建物含め、また新しい作品展開、楽しみにしてます!

by m-louis : 2006.05.31 16:36









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