2010年08月17日 (火)
龍王宮(SACRA THE BUS HOUSE)撤去
毎年桜の季節とそれ以外でも気まぐれに大川沿いを散策するときには定点観測してきた大川端・桜ノ宮駅下の「SACRA THE BUS HOUSE」が撤去されてしまった。天神祭の前に確認したときには鬱蒼と生い茂った木々の緑の間からうっすらバスの面影はまだ見え隠れしていた。それが盆の帰省でいつものように環状線に乗って電車の中から撮影しようとしたら、バスやその後ろの長屋のあったスペースが完全に更地と化してしまっていたのだ。帰阪後すぐいつもの定点観測ポジションに赴いたのは言うまでもない。
川っぺりも川っぺりで開発の求められているスペースとは思えないので(おそらく景観重視での撤去ではないかと思われる←実際は不法占拠による撤去)、今後そこがどうなるのかはわからないのだが、「ここもまた・・」という場所がまた一つ増えてしまったことは残念でならない。
谷中M類栖での紹介記事:
・SACRA THE BUSHOUSE(2009.04.10・定点観測記事)
・アクセスキーワード2007.04(2007.04.30・環状線からの俯瞰画像)
・・と、この記事は撤去確認からほぼ半年後に書いていて、実はその間にわきたさんのBlog版「環境社会学/地域社会論 琵琶湖畔発」コメント欄でこの場所に関する今まで全く知らずにいた事実を ryotaさんという方から聞き知ることになった。
それはこの場所が朝鮮の済州島出身者たちによって「クッ」と言われる巫祭の行われる「龍王宮」という場所だったのだ。私はこれまでその場所を対岸から観察するばかりでなぜか踏み込んでみようとしたことがなかった。錆びたバスと古びた長屋が見えていて陋巷錆び好きとしては恰好の撮影ポイントではあったはずなのだが、なぜか私はそこが文字通り「彼岸」のように思えてしまって、近所にもかかわらず今ひとつ踏み込もうという気持ちにはなれなかったのだ(ちなみに私は済州島に行ったことはないが、済州島のトルハルバンの石造にはなぜか無性に惹かれるところがあり、韓国土産では必ずオレンジ味のトルハルバンチョコレートを買って帰る)。
2011年1月29日にこりあんコミュニティ研究会+コリアン・マイノリティ研究会主催で『龍王宮の記憶(仮)』(監督・撮影:金稔万、2011年)が上映されたようで、その情報には上映後に気づいたので観られなかったのが残念でならないが、また上映機会の情報を見つけたときにはこのブログでも案内したい(1月29日の報告)。
龍王宮については検索すると色々出てくるが、「龍王宮とは?」というこりあんコミュニティ研究会+コリアン・マイノリティ研究会が作成したと思われるテクストが各所で転載されているので、ここでも出典明示でリンクの上、転載させていただくこととする(問題ありましたらコメントにてご一報ください)。
尚、この情報はコネクタテレビという映像番組のサイトで私が関わった「張智恵が舞う韓国伝統舞踊」というインタビュー映像をわきたさんにご紹介いただき、そのおかげで「SACRA THE BUS HOUSE」が「龍王宮」へと導かれたと言える。同インタビューのことも改めてこのブログで触れる機会を作りたいと考えている。
参考サイト:
・MINDAN:退去迫られる在日祈りの場「桜ノ宮龍王宮」(龍王宮内の写真あり)
・ソウル・ヨガ:桜ノ宮「龍王宮」にいってきた(撤去直前の画像数点)
・仏教と仏教美術の日々:桜ノ宮・龍王宮が存続の危機に陥ってるらしい(鋭い考察)
・日々。生きる現代文学:龍王宮(闘う詩人、上田假奈代さんのブログ)
m-louisさんこんばんは。
わきたさんのブログでコメントさせていただいたryota です。
張智恵さんの印象深い映像ありがとうございました。
能楽堂で韓国伝統舞踊が引き立つのは能楽の祖である秦氏が朝鮮半島から渡来したということと関係があるのかな?と想像を巡らせたりしてます。
済州島から渡ってきた在日の方たちに関心を持ちはじめたのは僕も最近なのですが、
『海女のリャンさん』
http://www.sakuraeiga.com/ama.html
という映画はいかがでしょうか、自分は今度dvd買って見るつもりです。
>ryotaさん
コメントありがとうございます。
わきたさんのところで ryotaさんのコメントがなければ、龍王宮のことは当面知るきっかけがなかったと思います。そして秦河勝の存在も存じ上げなかったので、これまた良いキーワードを一つ与えていただきました(というか、能楽がそんな古かったとは!)。
能楽堂それ自体のルーツが重なっていたんですね。
『海女のリャンさん』、アマゾンの内容紹介読むと見応えありそうですね。
そういえば拙ブログでは「朝鮮通信使」についても近江八幡に小旅行に行ったときに偶然知って、そのときにもわきたさんに色々教えていただきました。
http://yanaka.m-louis.org/2006/07/29/1731.php
「日本」を知る上で、あらゆるルーツになっているので今後も意識的にいろいろ見てみようと思ってます。
by m-louis : 2011.02.17 02:11