生まれも育ちもトキョモンにとって、まともな蕎麦を食わせる店が生活圏内にあるというのは、オサカモンにとってのお好みやたこ焼き屋が近所にちゃんとあるのと同じくらい重要なことである。ただし、ここで「まともな蕎麦」と言ってるのは特に味の好みをどうこう言おうというようなものではない。ただ、ちゃんと自分のところで挽いた蕎麦を打って出している店ということだ(まあ、大抵そういう店はうまいが)。
幸いにも関西で暮らすようになって7年。東京に較べれば蕎麦屋の少ない大阪でも2軒ばかりまともな蕎麦屋をチャリ圏内で見つけているので、蕎麦で欲求不満が溜まる心配はいらない。それよりも気掛かりだったのが、谷中の実家界隈でそれが確保できるかということだったが、幸いにも上棟式の日の昼食に豊田さんに案内されて行った「鷹匠」という蕎麦屋が十分すぎるほどにまともな蕎麦屋だったので、ホッと一息撫で下ろしたのだった(というのも実家の家族も蕎麦へのこだわりは強いので)。
その後、私も上京の機会に何度か行っているし、実家家族にとっては昼のレパートリーの一つでお客さんをもてなすのに連れていくことも多いようだ。私はまだ行ったことがないのだが、朝7:30〜9:30にも営業していて朝から蕎麦を決め込むこともできる。
ところでこの店に友人を連れて行って、蕎麦とは別にもう一つ、我々には自慢の逸品がある。それは店内奥の壁に掛けられたバナナの葉っぱのオブジェ(右の写真)である。この作品、実はうちの建築家の豊田さんの手によるものなのだ。2005年から2年続けて行われている「まちの木霊」というプロジェクトの展示でも出品されているのだが、お店に行かれることがあれば、是非奥の壁にも目を向けて欲しい。まあ、店内の設えも随所に工夫が凝らされているので、そうした興味があれば否応なく目にされるだろう。
この日は母と二人で12時少し前に行って昼からの開店一番乗りだった。それで今まで座ったことのなかった裏庭に唯一面した座席に座ることが出来た。この座席で窓の外を見上げると見られる光景が左の写真である。季節が良いこともあって新緑からの木漏れ日が気持ちいい。というか、それ以上に心吸い寄せられたのが、隣家と思われる木造2階建ての古い家屋である。ところどころ土壁が剥き出しになっているところもあって、人が住んでいるのか定かではないが、一度正面から見据えてみたい建物だった。
鷹匠を出て間もなく、突然見知らぬ二人組から「m-louisさんですか?(ニックネームではなく本名で)」と声を掛けられ、たじろいでいるとしばらくしてそれが flickr コンタクトの sympathyさんであることがわかった。ニックネームで呼ばれ、ニックネームを名乗られたらすぐわかったんだろうけど、最近初めて会う人とはニックネームで呼ぶべきか本名にすべきか、少々悩ましいところだ。ちなみに sympathyさんのこの日のことは「偶然だらけ」で書かれてます。
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