2006年12月19日 (火)

アトリエ アラン ウエスト: 谷中の床の間

Atelier Allan West

アランさんのアトリエにはこのブログでもお馴染みの mitsubakoさん、flickr 仲間でこの日が初対面だった(といってもまるでそんな気しなかったけど) ya maさん、そして幼馴染みのRちゃんと行った。なぜこの3人と一緒に行くことになったかというと、以前にエントリーした「山門不幸」がその引き金となっている。実はこの前日に長運寺の前を通ったらまだ「山門不幸」の立て札が立っていて、同エントリーを読んでくれてた3人が見たいということで、案内ついでにアランさんのところにも寄ったのだ(ちなみに同エントリーの補記で出てくる「その筋の友人」こそがRちゃんである)。

mitsubakoさんは Abejas e Colmenas「午後の谷中」、ya maさんは posinega「秋の個展めぐり(1)」でそれぞれこの日のことを書かれていて、mitsubakoさんがアランさんのアトリエでのことにも触れられているので、それを一部引用させてもらおう。

彼の床の間の考察は自由だ。日本人の居住空間から床の間が消えていったのも、おもしろさが失せたからだろうと彼はいう。規格化された床の間からは個性が消失し、有用性もなくなってしまったからなのだろうか。
考えてみると、小さいころ、床の間がわたしの部屋だったことがある。本棚と机がそこにはめ込まれて、妙な空間だったことを覚えている。まがった床柱が邪魔で、薄暗い感じが嫌いだった。
アランさんの目線でアランさんのような作家によって、いったん床の間の概念が崩されて、また、新しい床の間という空間が息づいてくるのかもしれない。

この床の間の話はアランさんから聞けた興味深い話の一つだったわけだが(床の間が規格化した背景にはおそらく LDK 発想ってもんがあったように思える)が、それ以外にも何を筆置き代わりにするといいか?って話や、表装を無難に収めようとすると失敗するという話など、この3人と一緒だったからこそ聞けた話がたくさんあった(ちなみに「その筋の友人」であるRちゃんのご実家は表具屋さんで、実際、丸井金猊の未表装リソースの表装はほとんどこちらにお願いしている)。

アランさんご本人については「アランさんのアトリエ訪問」を筆頭に幾つかエントリーしてるので、ここで改めて触れはしないが、今回は初めてうちにお越しいただき、祖父の画を生で観てもらえたのが何よりも嬉しかった。で、最後にそのときに聞くことのできた話を一つ。

テーマとして扱ったことはないものの、これまでにも何度か触れている「落款」の有無について。アランさんの場合、落款を押すのは大抵その作品が完成したときというよりも、その作品が売れて人手に渡るときなのだという。あくまで人にもよりけりとした上で、アランさんの場合は作品の完成は作家本人が一旦完成だと思ったとしても、後からまた手を加えたくなることはいくらでもあり、実際に手を加えることもある。だから、手許にある限りは落款は押さずにおいて、手を加えられない状況が来たとき(すなわち人手に渡るとき)に押すようにしているのだという。

なるほどこのことから考えれば、祖父のリソースも落款がないからと言って本人が作品としてまだ満足していないだろうと推測するのは判断が早急に過ぎるということになりそうだ。もちろんこれらも全ては推測に過ぎず、いずれにせよ祖父の画を「作品」とは呼ばずに「リソース」とする姿勢を崩すつもりはまだないが、一つ肩の荷が軽くなったというのは事実である。

尚、冒頭の写真は夜中の23時過ぎにアランさんのアトリエ正面から撮ったものである。本当はもう一度くらい訪問したかったが、どこの企画も1回まわるので精一杯。ただ、アランさんのアトリエは時間終了してても、こうしてまた別世界の表情を外からでも十二分に堪能できるので、夜中の訪問もオススメである。

谷中芸工展200637(?) アトリエ アラン ウエスト: 谷中の床の間 普段は絵の制作に使っているアトリエを、いろいろな時代の床の間であしらいます。案内を片手に各々の床の間をご覧下さい。公開制作もしております。
期間中無休/12:00〜17:00(日曜は13:00〜) 台東区谷中1丁目
⇒公式サイト: ALLAN WEST:アラン ウェスト オフィシャルサイト

【写真上】2006.10.20 23:33, 台東区谷中1丁目 アトリエ アラン ウエスト前

by m-louis : 2006.12.19 23:33
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