2004年02月03日 (火)

アランさんのアトリエ訪問

030119_allan.jpg節分の豆撒きに出掛けていたアランさん(※1)の帰りを待って、17時過ぎにアトリエを訪問。
アランさんの展示スペースを兼ねたアトリエが、うちよりも一回り大きいくらいなこと、また彼が日本画家であることなどから照明のことを中心にいろいろ伺った。アランさんのアトリエは元々自動車整備工場だったところを改装して作られているせいで、当然工場の趣を残しているが、もう何年も前から倉庫や工場跡を展示空間にした企画など当たり前になっているので、父でさえそうした空間に違和感はない。ただ、アランさんご本人が雨漏りが多くて困るとは漏らされていたが。。

床には畳地の茣蓙が畳状に敷いてあり、一見すると柔道場のようでもある。去年の art-Link のときのイベントで舞踊の先生に踊ってもらうということで敷いたらしいのだが、それ以降、その畳地の暖かさが気に入ってしまって外す気がなくなってしまったのだという。畳を敷いていると不思議と人を招きやすくなるんだとか。それと訪れる人の滞在時間が自ずと延びるらしい。うちもギャラリースペースを靴脱ぎにするかしないかで一時意見が分かれたが、とりあえず靴脱ぎで始めるという考えは間違っていないと思う。チャレンジする価値だけでもある。

照明に関しては工場の名残で付いてるらしき蛍光灯は一切使わず、ほとんどスポットの光だけで屏風や軸を照らされている。本当はUVカットのものを使った方がいいんだけどと言われながら、そうではない小ぶりのスポットを複数使って光を散らされていた。スポットを付けるためのレールの位置が案外難しいとのこと。屏風が大きいからといって離れたところに付けても、人が絵に近寄って見ようとしたときに影が出来てしまう。ただ、基本的に屏風はどんなところであれ、大抵はその場所に馴染んでしまうんだとか、、もともと屏風は室内に立てて風を避けたり、パーテション的役割を果たしていた建具の延長上のものなのである。しかし、その代わりと言ってはなんだが、掛け軸の飾る場所というのが難しいんだとか。元々は床の間に掛けられるものとしてあった訳だが、それを西洋的な展示壁に設置しようとするとどうしても違和感が残る。また、そばを人が通ると風で捲り上がりやすくなるという欠点もある。そういう意味で結局、柱と柱の間とか、どことなく床の間的空間に置くのが一番すっきりするというのが現時点での結論らしい。確かにうちでも軸の設置位置には難儀しそうだ。思えば三鷹市美術ギャラリーやトウキョウ・マリンギャラリーでの展示時にも自ずと軸はコの字型に囲われたところに展示していた。

照明に話を戻すと、アランさんはいつも秋葉原と上野広小路の間あたりの光東電気(※2)という特殊電球店でスポットを購入されてるとのこと。このお店はスポットの照り具合とかいろいろ確認させてくれて非常に親切に店員が対応してくれるんだとか。また、値段もお安いとのこと。

そういえば日本画の顔料である岩絵具は良いモノを使っていると変質しにくく(昔のものなら大抵良いモノが使われている)、そういう意味では絹本や紙本に地の塗り残しを多く取っている作品は逆にその岩絵具の載ってないところが傷みやすいんだとか。言われてみれば、確かに先月愛知の今枝邸から出て来た芥子の作品の傷んでる部分はまさしくその地の部分であった。


□◇
※1)アラン・ウェスト ALLAN WEST[1962- ]
アランさんは谷中の我々の敷地から路地を少し入ったところにアトリエ兼画廊を構える日本画家。
土地購入を決めて周囲をほっつき回っていた頃から気になっていた場所で、去年の art-Link のときに一度お邪魔させてもらっている。
そのときは挨拶程度だったが、今回お会いしてみても日本人以上に物腰がやわらかく相手のことを嫌味なく気遣う気さくな人柄は変わらなかった。奥さんが日本人で奥さんの言葉遣いがそのまま移っているらしく、ちょっとオカマっぽい喋り方になってるんだとか(笑)
今後、家族ぐるみでお付き合いすることになりそうだ。美術に疎い父ですら気を許してる感じだった。
本人の略歴等はオフィシャルサイトで確認してもらった方が早いだろう。

※2)特殊電球 光東電気株式会社
お店のサイトはないみたいだが、安くて親切といったコメントの書かれたサイトは検出された。
東京都千代田区外神田4-5-1 Tel: 03-3255-3741 日曜定休

tags : , , , , , , , ,
by m-louis : 2004.02.03 17:34
This Trackback No.
2008年01月27日 06:12
第18回打合せ: 白い家
excerpt: 工事が本格始動してからは毎週火曜に行われている定例会に併せ、打合せも月1ペースで火曜に行うこととなったのだが、先月末あたりから母が声帯炎を患い、当初予定の...
weblog: 谷中M類栖
comment









cookie:






現在コメントはブログ管理者の承認後に反映される形を取っております。
▲PAGETOP