2006年04月15日 (土)

耐震強度偽装問題への提言1

これまでこのブログでは冗談程度にしか耐震偽装の問題について触れてこなかった。
それは誰が悪いだの誰に責任があるだのと今更ここで書いてみても一般論の域を到底出るものではないし、きっこのブログのような特別な情報を持ち合わせているわけでもないので、無闇に検出されるエントリー数を増やして本当に必要な情報を求めている当事者たち(マンション住民?)の邪魔をしたくないとも思ったのである(ってことは冗談でも触れるべきじゃなかったとも言えるけど)。

それともう一つ、これは他の社会現象とも大枠で繋がりそうな話なのだが、昨今の建築物に規制を与えているはずの建築基準法──その法制度のあり方そのものに対して以前から漠然とした疑問を抱いていて、ただ、その法令については何ら詳しい知識があるわけではないので、あまりいい加減なことも書けないと思っていたのである。

ところが、去年の秋から視聴し始めた丸激トーク・オン・デマンド「videonews.com」の2月11日の回にゲスト出演した多田英之氏(日本免震研究センター代表・一級建築士)の話「耐震偽装の深層──安全な建物とは何なのか」を聞いたことによって、それまで漠然としていた疑問の輪郭がかなり鮮明なものとなってきた。
そこで早速、彼の著書『建築の設計と責任──なぜ今も地震で建物が壊れるのか』(岩波書店・¥2.310-)を購入。またトーク中に取り上げられた『法律と科学技術──第三者機関が消滅する』という非売品書籍も入手。これらの書籍は共に耐震強度偽装問題が世で騒がれる前に書き下ろされたものであったが、まさにこうした問題が先の法制度上の問題として必然的に浮上することを説いた警告の書だったと言って間違いない。トークを聞き始めたときには、威勢の良い爺さんが出てきたもんだくらいの感じで見ていたのだが、聞き手の宮台真司氏も繰り返されるように目から鱗の話だらけで途中から釘付けとなってしまった。

なお、このエントリーではタイトルに〈1〉と付けているように、まずは耐震強度偽装問題への提言として、その結論だけ述べて、続くエントリーで多田氏の著作やトークを参照しながら、その結論に対する補足説明の形を取っていくつもりである。

もちろん多田氏の書籍を参照するからといって、私の提言が素人の域を出るものとなるわけでないことは心得ているつもりである。それを承知で提言という形でのエントリーをしようと思ったのは、一向に解決への糸口の見えてこない難題に対しては門外漢の妄想的暴論が思わぬところでヒントとなることもあるのではないか?と思ったこと。またそれと他にもう一つ理由があるのだが、それは今後のエントリーで自分の出した結論への説明を加えていく過程で伝わるのではないかと思っている。

さて、その結論だが、それは免震建築の第一人者である多田氏の影響をそのまま受けてしまったんじゃないか?と疑われそうだが、私の提言する結論とは、退去勧告の出された一連のマンションを耐震構造から免震構造に置き換えよ!というものである。

なんだ!素人の暴論と勿体ぶってそんなあり来たりな話か!と拍子抜けされるかもしれない。実際、免震構造化の話はワイドショーレベルでも取り沙汰されていて、コストが掛かり過ぎることを理由に選択肢から外される場面を私も何度か目にしている。だが、その「コストが掛かり過ぎるから」と諦められている、そこのところにこの問題の入口があるように私には見えるのだ。その入口をこじ開けるためにも、耐震建築と免震建築の国内で置かれている立場をもう少し見えやすくしておく必要がある。
それを次のエントリーでまずはなるべく平たく説明していきたい。

by m-louis : 2006.04.15 23:15
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2006年04月19日 06:12
耐震強度偽装問題への提言2
excerpt: 現状の耐震偽装マンションの構造を免震化するという手法はコストが掛かり過ぎて話にならないと私の見たワイドショーではパネル説...
weblog: 谷中M類栖
2006年05月01日 05:01
耐震強度偽装問題への提言
excerpt: 耐震強度偽装問題を解決するための具体策として、被害マンション全戸免震化の再考を提言する。その根拠は本件の免震化を厳しいとする専門家の声にこそ、建築業界の歪...
weblog: 谷中M類栖
comment

お。なんだか面白くなりそうですな。楽しみ楽しみ。

by あさみ編集長 : 2006.04.16 04:54

>あさみ編集長さん
日付改竄してアップしてるのに、もう見つかってる(汗)
しかし、アマゾンサーチ、今回は露骨に如何にもな本選んでますね(笑)

by m-louis : 2006.04.16 05:17









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