建築写真撮影

豊田さんは以前「完成直後の真っ新なときよりも、人が住み始めて生活臭が漂い出してからの写真を撮りたい」と言われていたことがある。そうした姿勢というのは施主という立場にある者からすると大変喜ばしい話だと私は思うがどうだろうか? 「人が住む」ことが大前提の住宅建築ながら、建築雑誌の多くは完成直後の写真を扱うのが主だし、またそうした写真を残したがる建築家の中にはそれが自身のプレゼンの道具になるという意識の方を強く持ってる者も居ないわけではないだろう。その点で豊田さんの姿勢はアンチ建築雑誌、アンチプレゼン中毒、さらにはアンチ<近頃の極端すぎる抗菌・清潔>志向に繋がる小気味良いものがある。

ただ、とはいえ、さすがにそうした真っ新写真がまったく残ってないというのもこれまた施主としては寂しい話というのが偽らざるところ。ところが実質的問題として、建築写真ってのはその手の専門家に頼むとめっちゃ高く付くということが少し前から相談に乗ってもらっていた学生時代の友人フォトグラファーの話によって判明した。
具体的な数字を挙げると、もちろん内容やカメラマンによっても様々だが、4X5なら1カット¥15,000〜¥50,000くらいは掛かるというものらしい。となると家の写真の場合、数枚撮っておけばよいというものでもないし、相当の出血を覚悟して臨まなければならない。というわけで、我々はさっさとそれを諦めてしまったのだが、それは初音すまい研究所にとっても同様のようで、予算の都合上プロに頼むのは1回までと考えていたらしい。となれば必然的に豊田さんが希望する「人が住み始め」「特に応接室はピアノや屏風が入った」状態が初音が依頼するプロの撮影対象ということになるわけだ(もちろん初音すまい研究所独自に撮影するということは考えられているが)。

ところがそうした経緯を先の友人フォトグラファーの清さんに報告していたら、建築写真の専門ではないけど自分が撮りましょうか?と名乗り出てくれた。それも当初は35mmのカメラで三脚は使うもののスナップ的にと言われていたのが、最終的には西荻窪にある「レンタルカメラショップ」で¥4,700-/1日という定価23万もする広角ズームレンズ「Canon EF16-35mm F2.8L USM」を借りて撮影してくれることに。
清さん自身が「35mmのカメラでは、広い範囲がはいりきらない、画面の端の方がゆがむ、などの弊害がある」(※1) と事前に言われていたのだが、やはり実際に自分で撮るとなると必要に応じた道具が使いたくなるというのがプロ魂というものだろうか?(もちろん、そのとき限りしかない真っ新おうち写真を我々家族のために残しておこうという親切心も大いにあっただろうが)

ともあれ、そうした本人が撮る撮らない以前の段階で建築写真について色々メールでレクチャーもしてくれ、それは今後本格的な建築写真を残しておきたいと考えている建て主さんにも役立ちそうな話なので、以下に転載しておきたい。

建築雑誌等に掲載されている写真は、たいてい4X5という蛇腹のついた大きいカメラで撮影しています。
普通のカメラ(35mmとか)で建物を撮ると、パースがついて上の方が細くなっちゃったり、柱が斜めになっちゃったりしますが、4X5カメラはそれを修正して、まっすぐに撮影できるのです。
ここ(※「大判カメラ写真教室」)にわかりやすくのってます。
特に第3回「人間の目とアオリ」第6回「建物の撮影方法」をみるとよくわかります。
(中略)
雑誌に掲載されているクオリティの、いわゆるちゃんとした建築写真をお望みならば、専門に撮っているカメラマンにまかせたほうが、早いと思います。

で、当日はお披露目会のあと、工事も続行する中で15:00〜17:45くらいまで2F(書斎→和室→キッチン→ダイニング→階段)→3F(タラップ前→各洋室→ベランダ→脱衣浴室→廊下)→2F(建具ディテール→ダイニング→バルコニー→階段)→1F(応接室→工事風景→前室)→ファサードといった順で、36枚フィルム2本分撮影してもらった。2F和室の畳が敷けてない状態だったのが何とも悔やまれる。しかし私自身、何度もファインダを覗かせてもらったのだが、レンズの広角具合とアオリの補正具合(※2) はさすがは定価23万円の代物と言いたくなるものだった。私が後ろでデジカメで撮ってた写真とはその納まり具合も違えば写真全体のピントの合い方もまるで違う。

040716_kiyo.jpg

清真美撮影による谷中M類栖写真は後日改めてまとめて公開する予定です。

by m-louis : 15:01 | comments (1) | trackbacks (2)

ささやかなお披露目

第29回打合せ: スケジュール(※) でも書いたように引き渡し→引越までの間が2日となり、その期間はすべて引越準備作業に当てなければならなくなってしまったため、事実上、完成お披露目といった機会は持てなくなってしまった。しかし、ムリムリでも引越前に写真撮影だけはしたかったので、工事の真っ最中に友人のフォトグラファーに撮影をお願いし、そのついでという形でフォトグラファーと何某かリンクしてる友人数人+先日相互 trackback で知り合ったばかりの Off Space の bside さんを招き、ささやかながらお披露目の場を作ることができた。

040716_kayaba.jpgまあ、お披露目といっても日暮里のペルシャ・トルコ料理店「ざくろ」で1000円のしあわせランチを食べながら自己紹介&近況報告をして、その後、工事最中に現場見学をするという慌ただしいものだったのだが。。
ある意味、みんなが一番くつろいでくれたのは現場を離れて、近くのカヤバ珈琲でかき氷食べてたときだったんじゃなかろうか。でも、途中から雲行き怪しくなるし、何もかもが慌ただしい中で引きずり回すことになってしまって、ちょっと申し訳なかったくらいだ。
お越し頂いた皆さん、ありがとうございました。
今度は是非本当に完成してから!ということで。。

by m-louis : 13:09 | comments (0) | trackbacks (0)

2004年07月15日 (木)

イプサ納入設置

歩道切り下げ問題の交渉を終えた父はその日搬入が予定されているキッチンキャビネットとエアコンの搬入&設置に立ち会うために急ぎ谷中へ。何でも昼食中に業者さんから「もう家の前に来てます」という電話が携帯に掛かってきたらしく、大慌てで鶯谷から走って行ったらしい。おそらく日中の言問通りはタクシー乗るより走った方が早い。猛暑の中、ホンマに御苦労様である。

で、まあ、エアコンの方は「第29回打合せ: ケーブルテレビ」追記の打合せ記録(※) でも書かれているように洋室-2(Y) 用と洋室-3(A) 用の冷媒管に印を付けておいてもらってあったのでさほど時間を要せず設置作業は終わったらしいが、キッチンキャビネットのイプサ(ipsa)の方はモノがモノだけ(階段通路も狭いし)に大変だったらしい。
ただ、父曰く、イプサを納入してくれた三芳家具は家族経営の小さなとこだけど、親父さんは如何にも職人気質のなかなか愉快な人だったらしい。途中、店のある埼玉の方が突然の夕立に襲われたらしく、表に出してあった家具類が大変だ〜という電話が奥さんから入り、大童の作業だったらしいが、それでも寸法ぴったりの納まり位置に滞りなく収めて行ってくれた。
イプサを買うなら三芳家具!と個人的に応援したくなるところだったようだ。

by m-louis : 13:50 | comments (0) | trackbacks (0)

再々?歩道切り下げ問題

7/11(日) に届いた豊田さんからのメールで、既に了解済みとなっていたはずの敷地前面道路の歩道切り下げの問題が再浮上したことを知る。実はこの問題に関しては豊田さんとの設計プロジェクトが始まる前にもすでに役所および警察双方の了解を得ており、今回の交渉で3度目ということになるのであるが。

で、豊田さんから、こうした問題は業者だけで赴くよりも敷地の所有者であり納税者でもある施主自身が出向いた方が役所の側としてもいい加減な対応ができないだろうということで、山本さん、豊田さんと共に父が交渉の場に立ち会うことになった。まあ、以前も父と私と前任建築家のT氏と3人で乗り込んでいるのだが、今回は引越準備で忙しいこともあり施主側からの参加は父のみ。

by m-louis : 10:00 | comments (0) | trackbacks (0)

2004年07月14日 (水)

表示登記

引越手伝いで週末に妻が上京する前に、登記に印鑑証明や住民票等が必要かどうか確認しておいた方がよかろうということで東京法務局台東区出張所に電話。
で、聞くところによると登記上、所有者が完全に一人で明確な場合には印鑑証明まではいらないらしいのだが、うちの場合は建物の権利が母と私の共有名義となっていて、書類上二人の名前が出てくるところもあるので結局妻には北区役所に行って両方取り寄せてもらわねばならぬことになった。
尚、この時点においては登記は父が自分でやると言っていたのだが、何やかんやと個人では難しいところもあり、結局7/29(木) の第30回打合せ(※) のときに司法書士さんを阿部さんから紹介してもらうということで落ち着いた。
追記に法務局から聞いた必要な書類関係を纏めておく。

by m-louis : 11:08 | comments (0) | trackbacks (0)
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