我が家のトイレは2F以外はコスト削減のためにウォシュレットだけ別メーカー(松下製)の割安商品を施主購入&取付するということにしていたのだが、母が不器用な父の取付作業に対して心配を口にし始めて、結局施主取付は主に父が使うということになってる3Fのみ。1Fは商品自体は施主支給ではあるが、取付工事は本工事期間中に別途費用を払って業者にやってもらっていた。
というわけで、3Fのみは父が自分でということでこの日の11時頃にそれを取り付けるためにやってきたのだが、まあ、何となく予想はできたんだけど、母の不安は見事的中。トイレ水浸し事件が勃発したのである。
その辺、私も父に似てるところがないわけでもないのだが、父はあまり取扱説明書を精読するタイプではない。だから、それによる失敗も多く、その度に母や妹からお小言言われるのだが、どうもまるで懲りてないようで、今回もときどき作業の様子を覗くと箱の中の細かい部品をあたりに散らかしてゴチョゴチョやっている。で、一度、覗きに行った折に呼び止められて、ここのパイプがうまく嵌らないからちょっと試してみてもらえないか?と言われ、言われるままに嵌めるべきところを嵌めてみると、そう造作なく嵌めることはできた。ただ、そのとき気になったのがそのパイプの下に何らかの部品と思われるものが落ちていたこと。が、父はそれには気を掛けず、とりあえずパイプが嵌ったので安心したのか、一旦作業のために大元の栓を閉めていた水道を開栓してデニーズに昼食に行ってしまったのだ。
で、その間、私は2Fでお湯を沸かしてカップラーメンを食べていたのだが、どうも上の階からずーっとトイレの水が流れっぱなしのような音が聞こえてくるので、不審に思って階段を上がると、すでにトイレ床面は完全に水浸しとなり、脱衣室の方にまで水は流れ出ようとしていた。やはり私が気にしていた部品がないことによってか、とにかく水の堰き止め機能が失われてしまっているようであった。何にしても私は慌てて脱衣室にあったタオルを手に取り、まずは水浸しとなったトイレの床を拭く。しかし、便器後ろの配管部分からは続々と水が流れ出し、拭いても拭いてもまたすぐに水は溜まってくる状態。ひとまず私は水の滴り落ちる部分にタオルを敷き、トイレ手前の脱衣室に水を溜められるものがないか探す。本来であれば風呂場には手桶の類が幾つかあってそれが役立ったはずだったのだが、まだ家族は皆、仮住居で寝泊まりしており、生憎そうした道具はこちらには持ち運ばれていないのだ。そんなわけで私はトイレの水漏れ具合に気を取られつつも手当たり次第脱衣室にある箱などを開けて、何とか水受けに出来るものがないか探し、ようやく一つクリスタルグラスなる未開封のちょっと高価そうなコップを見つけ、一瞬躊躇はしたものの、そんなこと言ってる場合ではなく、それで急場を凌いだのである。とはいえ、グラスに水はほんの十数秒もしないうちに溜まってしまうので、まだまだ悠長なことはしていられない。元栓を止めない限り、この状態は収まらないわけであり、しかし、元栓を閉めるためには3Fから1Fまで降りねばならず、ましてや私自身は水道栓の場所をちゃんと確認していたわけではなかったので、どこにあるのか探すところから始めなければならない。その間に水がトイレ室内から溢れて脱衣室、さらには廊下や階段にまでこぼれ出す可能性がないとは言い切れなかった。
そこで、ひとまず思い付いたのが3Fの父の部屋に行ってコードレス電話を取ってきて、父の携帯に電話するということであった。何しろ父は歩いて3分もないデニーズで昼食を食べているのだ。で、片手で水の処理をしながら電話するとまずは出てくれたのでホッとした(父は携帯の電源を切ってることが多いので)が、事情を話すと「だったら下に降りて元栓閉めればいいじゃないか」と父。それができる水量ならとっくにしてるのだが、どうやら父はまだ食べている途中であるらしい。食いしん坊の父には途中で食べるのをやめて戻ってくるなどということは考えられないことであった。というわけで、とりあえず食べ終わるまで水受け作業を続けていてくれということで、十分ほどのちに帰ってきた父が元栓を閉めたことによってどうにかこのトラブルは収まった。
しかし、こんな状態になってしまって、ウォシュレットの取付作業をしたところで、水道本体の接続を誤ってしまっている可能性もあるので、水道屋を呼んで見てもらうことにしたところ、夕方やってきた水道屋さんは親切にパイプの修復をしたあとに無料でウォシュレットまで取り付けて行ってくれたのである。結果的にはコストの面では一番お得な方法が選べたことにはなったが、しかし、これだけ水浸しにしたとなるとフローリングのことが心配である。特にうちの場合、フローリングにはよくある業者の専用コーティングをせず、オスモのクリアを薄塗りしただけなのだ。だが、矢原さんに早速電話で尋ねてみたところ、塗って間もない時期なので、材が変色・腐敗するような心配はないだろうとのこと。だが、とはいうものの、こうした天然木は将来どういう変化が起こるかわからない。そうした変化が起きたときに母がまた心配の声を撒き散らすとそれが一番疲れるので、父には今日あったことは母にちゃんと話すように!ときつく言っておいた。きっと家に帰ったら「やっぱり」と言われているはずだ。
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