2004年07月16日 (金)
喫茶 谷中ボッサ
撮影というのは撮る方はもちろんだろうが、付き添う方というのもこれまた案外疲れるもので、撮影終了後に私の方が一休みしたくなり、カヤバ珈琲の並びにある喫茶 谷中ボッサに入ることになった。実はこの店、この日発見して初めて入ったんだけど、今年の4月頃にはオープンしてたらしい。谷中ボッサの前の通りって通る機会がないわけじゃないんだけど、大抵 SCAI THE BATHHOUSE の前の道のところで右折しちゃうんで、この筋だけ外れちゃうんだよね。前を通ってたなら絶対気づいてたはずだもん。
しかし、なかなか良い店を発掘してしまいました。こんな近所でボサノヴァ聴きながら珈琲飲める店があるなんてちょっと幸せ。清さんから一口もらったスイーツもなかなかの味で、店の雰囲気もいいし、今後、上京の度に通うことになりそうです。
建築写真撮影
豊田さんは以前「完成直後の真っ新なときよりも、人が住み始めて生活臭が漂い出してからの写真を撮りたい」と言われていたことがある。そうした姿勢というのは施主という立場にある者からすると大変喜ばしい話だと私は思うがどうだろうか? 「人が住む」ことが大前提の住宅建築ながら、建築雑誌の多くは完成直後の写真を扱うのが主だし、またそうした写真を残したがる建築家の中にはそれが自身のプレゼンの道具になるという意識の方を強く持ってる者も居ないわけではないだろう。その点で豊田さんの姿勢はアンチ建築雑誌、アンチプレゼン中毒、さらにはアンチ<近頃の極端すぎる抗菌・清潔>志向に繋がる小気味良いものがある。
ただ、とはいえ、さすがにそうした真っ新写真がまったく残ってないというのもこれまた施主としては寂しい話というのが偽らざるところ。ところが実質的問題として、建築写真ってのはその手の専門家に頼むとめっちゃ高く付くということが少し前から相談に乗ってもらっていた学生時代の友人フォトグラファーの話によって判明した。
具体的な数字を挙げると、もちろん内容やカメラマンによっても様々だが、4X5なら1カット¥15,000〜¥50,000くらいは掛かるというものらしい。となると家の写真の場合、数枚撮っておけばよいというものでもないし、相当の出血を覚悟して臨まなければならない。というわけで、我々はさっさとそれを諦めてしまったのだが、それは初音すまい研究所にとっても同様のようで、予算の都合上プロに頼むのは1回までと考えていたらしい。となれば必然的に豊田さんが希望する「人が住み始め」「特に応接室はピアノや屏風が入った」状態が初音が依頼するプロの撮影対象ということになるわけだ(もちろん初音すまい研究所独自に撮影するということは考えられているが)。
ところがそうした経緯を先の友人フォトグラファーの清さんに報告していたら、建築写真の専門ではないけど自分が撮りましょうか?と名乗り出てくれた。それも当初は35mmのカメラで三脚は使うもののスナップ的にと言われていたのが、最終的には西荻窪にある「レンタルカメラショップ」で¥4,700-/1日という定価23万もする広角ズームレンズ「Canon EF16-35mm F2.8L USM」を借りて撮影してくれることに。
清さん自身が「35mmのカメラでは、広い範囲がはいりきらない、画面の端の方がゆがむ、などの弊害がある」(※1) と事前に言われていたのだが、やはり実際に自分で撮るとなると必要に応じた道具が使いたくなるというのがプロ魂というものだろうか?(もちろん、そのとき限りしかない真っ新おうち写真を我々家族のために残しておこうという親切心も大いにあっただろうが)
ともあれ、そうした本人が撮る撮らない以前の段階で建築写真について色々メールでレクチャーもしてくれ、それは今後本格的な建築写真を残しておきたいと考えている建て主さんにも役立ちそうな話なので、以下に転載しておきたい。
建築雑誌等に掲載されている写真は、たいてい4X5という蛇腹のついた大きいカメラで撮影しています。
普通のカメラ(35mmとか)で建物を撮ると、パースがついて上の方が細くなっちゃったり、柱が斜めになっちゃったりしますが、4X5カメラはそれを修正して、まっすぐに撮影できるのです。
ここ(※「大判カメラ写真教室」)にわかりやすくのってます。
特に第3回「人間の目とアオリ」、第6回「建物の撮影方法」をみるとよくわかります。
(中略)
雑誌に掲載されているクオリティの、いわゆるちゃんとした建築写真をお望みならば、専門に撮っているカメラマンにまかせたほうが、早いと思います。
で、当日はお披露目会のあと、工事も続行する中で15:00〜17:45くらいまで2F(書斎→和室→キッチン→ダイニング→階段)→3F(タラップ前→各洋室→ベランダ→脱衣浴室→廊下)→2F(建具ディテール→ダイニング→バルコニー→階段)→1F(応接室→工事風景→前室)→ファサードといった順で、36枚フィルム2本分撮影してもらった。2F和室の畳が敷けてない状態だったのが何とも悔やまれる。しかし私自身、何度もファインダを覗かせてもらったのだが、レンズの広角具合とアオリの補正具合(※2) はさすがは定価23万円の代物と言いたくなるものだった。私が後ろでデジカメで撮ってた写真とはその納まり具合も違えば写真全体のピントの合い方もまるで違う。
清真美撮影による谷中M類栖写真は後日改めてまとめて公開する予定です。
ささやかなお披露目
第29回打合せ: スケジュール(※) でも書いたように引き渡し→引越までの間が2日となり、その期間はすべて引越準備作業に当てなければならなくなってしまったため、事実上、完成お披露目といった機会は持てなくなってしまった。しかし、ムリムリでも引越前に写真撮影だけはしたかったので、工事の真っ最中に友人のフォトグラファーに撮影をお願いし、そのついでという形でフォトグラファーと何某かリンクしてる友人数人+先日相互 trackback で知り合ったばかりの Off Space の bside さんを招き、ささやかながらお披露目の場を作ることができた。
まあ、お披露目といっても日暮里のペルシャ・トルコ料理店「ざくろ」で1000円のしあわせランチを食べながら自己紹介&近況報告をして、その後、工事最中に現場見学をするという慌ただしいものだったのだが。。
ある意味、みんなが一番くつろいでくれたのは現場を離れて、近くのカヤバ珈琲でかき氷食べてたときだったんじゃなかろうか。でも、途中から雲行き怪しくなるし、何もかもが慌ただしい中で引きずり回すことになってしまって、ちょっと申し訳なかったくらいだ。
お越し頂いた皆さん、ありがとうございました。
今度は是非本当に完成してから!ということで。。