2006年04月30日 (日)
エントリーした時点でランクインの予想がなかったわけではないのだが、「橋本遊郭」の「遊郭」が初登場3位に入り込んできた。ピンク用語(古い臭い言い方だが)のネット上での威力を改めて実感。他、個人的に嬉しかったのは「谷中ボッサ」が2位に、そして「トタン」が8位に入ってきたこと。
尚、このアクセス解析をしている NINJA Tools がバージョンアップしたおかげで、今月からどの検索システムを利用してアクセスしたかもわかるようになった。が、そこは従来通り総計数でカウントしていくこととする。
- 軍艦アパート 4.3%
- 谷中ボッサ 2.9%
- 遊郭 2.0%
- 谷中 1.9%
- 玄関アプローチ 1.3%
- 赤穂 1.2%
- 高過庵 1.1%
- トタン 1.0%
- パーゴラ 0.9%
- ファーブル昆虫館 0.8%
2006年4月の解析結果は
こちらから。
≪ 閉じる
2006年04月29日 (土)
5回にわたってエントリーしてきた「耐震強度偽装問題への提言」のシリーズ。
その全編にいつもの私の悪い癖(長文化)は出まくってしまったので、このエントリーではそれらを目次形式にしてもう少しコンパクトにまとめておきたいと思っている。
耐震強度偽装問題への提言1
・前置き(素人の妄想的暴論が持つ可能性について)
・参照書籍(多田英之著『建築の設計と責任』+『法律と科学技術』)の紹介
・被害マンションの「耐震構造→免震構造」化の再考を提言
耐震強度偽装問題への提言2
・耐震建築と免震建築の歴史的背景とその立場について
・免震化が困難と言われる一番の理由(免震建築はコストが高くつく)について
耐震強度偽装問題への提言3
・免震建築事例(六本木ヒルズ・首相官邸・中之島公会堂)の紹介
・建築業界の既得権益層が「免震建築は高くつく」というイメージを喧伝していること
耐震強度偽装問題への提言4
・業界の耐震・免震に対する既得権益意識を産官学の「学」を中心に検証
・耐震建築はあらゆる意味で「金」の生る美味しい木になっているということ
耐震強度偽装問題への提言5
・耐震強度偽装事件に関与する人物たちの一斉逮捕の報
・全被害マンション免震化へ向けての戦略1(被害住民のネットワーク構築)
・全被害マンション免震化へ向けての戦略2(逮捕者たちやマスコミの活用法)
・建築の設計と責任、そして施主の位相(消費者に留まるか当事者として考えるか)
以上がこのシリーズの話の流れを目次形式にまとめたもので、それだけでこちらの思惑がどれだけ伝わるのかは自分でもよくわからないが、興味のあるエントリーなどあればそのタイトルをクリックしていただけると幸いである。
尚、このシリーズでは全編にわたって被害マンションの免震化を唱えており、当然それを書いた私が免震建築推奨の関係者か信者と思われてもやむを得ないところはある。しかし、私個人としては、ここで免震化を主張したのは、一つには素人目に考えてそれが常識として言われてるのとは逆に、最もコストを抑えてこの問題を解決できる方法だと思ったこと。そしてもう一つはその常識と言われている「免震建築は高くつく」というイメージ自体が実は建築業界内外の利権維持体質から生まれているものであり、今回のような事件で国民的関心を集めているときこそ、その堆積した膿を白日の下に晒す絶好の機会になると思えたからである。
この歪んだ常識を覆すことが出来れば、被害者住民にとっては一番無難に元通りの生活を取り戻すことができるだろうし、また一般市民にとってもこれまで一部の特権階級のものでしかなかった免震建築を安全な住まいを考える上での一つの選択肢として数えることができるようになるだろう。耐震強度偽装事件において免震化の再考を提言するということは、ただ、局所的な解決を求めること以上に、業界の体質改善を明確な具体策に寄って立って図っていこうとするものなのである。
さて、ここまでこのシリーズを続けてきて、しかし、私はこれまでの5つのエントリーからはどこにもトラックバックを送信したりしていない。それはこのエントリーの冒頭でも触れたように一つ一つ見るとかなり脈略のない長文なだけのエントリーなので、そこからTBしても何のこっちゃ?なものになってしまうと思えたからだが、それとは別にもう一つ理由があったことをここに記しておく。
実は今回のシリーズを書くにあたって、私はほとんど関連ブログの渉猟をしなかったのだ。ふだんのエントリーではなるべく裏を取ることを心掛けているが、このシリーズに限っては「素人の思いつき(妄想的暴論)」であることを最重視したかったので、ほとんど情報源は多田氏の著作2冊に限定することとした。そのため、大きな勘違いや偽りの情報を書いてしまっている可能性も充分あるので、もしおかしいと思うところがあれば、遠慮なくコメント等でのご指南・ご指摘お待ちしている(匿名でも歓迎)。
ついでだから関連ブログを渉猟しなかった理由も記しておく。
それはこの耐震強度偽装問題に対する情報があまりに多すぎるということだ。ニュースにせよ個人ブログにせよ、関連する用語で検索すればあまりに大量に検出されるので、それらを精査して書く気力が持てなかったというのが実情である。それと本音を言えば私はこの問題の当事者ではないので、そこまで深い関心を寄せられなかったという現実もある(例えば旧阪急梅田駅コンコースでやれたようには)。
しかし、このエントリーではこれから先、興味を持った関連ブログには有名無名問わず積極的にTB送信していくつもりである。というのも、この提言を各所に散りばめて、できることならマンション住民の目に触れるところまで送り届け、あわよくば免震化を再考するよう促すことこそがこのシリーズの実践的目的であるからだ。ただ、如何せん先ほども申し上げたように当事者でない私の意欲はそんなに深いものではない。なのでこの私の素人の思いつきを面白いと共感されたり、もう何ひねりかしたら実践も可能と思われるような方がおられたら、それをもっと精巧な論に仕立て上げて、どんどん公表するなりブログで書くなりして膨らませて行ってほしい。
また、それとは別にこのサイトやブログで面白いこと書かれてるとか、そういう情報をご存知ならばコメントしていただけると幸いである。もちろん我こそは!という記事を書かれているなら、このエントリーへのトラックバックも歓迎している。
一応このエントリーでも関連リンクリストはこれから作って行く予定なので。。
【耐震強度偽装問題・関連リンク】←随時追加予定
・家づくり、建物づくり: マンション問題(2005.11.21)
・家づくり、建物づくり: 建築基準法(2005.11.29)
・家づくり、建物づくり: 建築士の役割(2006.02.01)
・家づくり、建物づくり: 建築士の役割 2(2006.02.07)
・家づくり、行ったり来たり: 「経済設計」とは何か--欠陥マンション問題で考えた(2005.11.27)
・家づくり、行ったり来たり: 基準すれすれのリスク(2005.11.28)
・家づくり、行ったり来たり: 構造計算をチェックするのにふさわしい組織――今後のために(2005.11.30)
・ちはろぐ: 『建築の設計と責任』(2006.05.25)
・板倉雄一郎事務所: Deep KISS第24号「商流と責任」(2005.11.27)
・真理を求めて: 耐震強度偽装問題の事実は何か
・高山峯夫のホームページ: 建築物の耐震安全性について(2006.03.13・PDF)
・高山峯夫のホームページ: 姉歯事件と免震構造(2006.03.13・PDF)
・高山峯夫のホームページ: 地震力からの解放をめざして(2006.03.13・PDF)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 構造計算の偽造(2005.11.18)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 構造計算の偽造(その3)(2005.12.01)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 構造計算の偽造(その4)(2005.12.03)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 耐震計算の偽造(その5)(2005.12.06)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: アカウンタビリティ(2005.12.06)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: はかる(2005.12.20)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 話題のマンション(2005.12.23)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 緊急集会(2005.12.26)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: デベロッパーに保険加入?(2006.01.28)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 耐震強度偽装問題についてシンポジウム(2006.01.28)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について(2006.02.06)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: TV取材(2006.02.08)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 耐震偽装が10000件?(2006.02.10)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: シンポジウムのご案内(2006.02.12)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 多田先生ビデオ出演する(2006.02.13)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 耐震偽装から日本を立て直す会(2006.02.18)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: シンポジウムの報告(2006.02.19)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 耐震偽装問題(2006.03.09)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 建築学会の中間報告会(2006.03.20)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 耐震偽装の真実(2006.03.21)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: イーホームズ立件?(2006.04.20)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 亡国マンション(2006.04.22)
・高山峯夫 - 教授のひとりごと: 住宅建築と施主(2006.05.20)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 耐震強度偽装問題(2005.11.26)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 「崩壊の危機」に直面する住民の苦悩(2005.11.27)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 耐震強度偽装問題参考人招致(2005.11.28)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 事実の確認(2005.11.30)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 「事実の確認」からの逃避!?(2005.12.01)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 再度の参考人招致質疑(2005.12.03)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: ウェークアップ!ぷらす(2005.12.03)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 奈良の耐震偽装問題現場視察(2005.12.04)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 二転三転の参考人(2005.12.06)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 民主党耐震強度偽装問題対策本部(2005.12.07)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 主役たちのいない舞台(2005.12.08)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: ヘナチョコ「喚問」決定(2005.12.10)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 不穏な周辺の動き(2005.12.10)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 怒涛の証人喚問(その1)(2005.12.16)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 怒涛の証人喚問(その2)(2005.12.16)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 怒涛の証人喚問(その3)(2005.12.16)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 身辺警護と祭(2005.12.20)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 幕引き許さず(2005.12.20)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 前人未到の荒野(2005.12.20)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 与党、幕引き完了(2005.12.21)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 政権不信!(2005.12.22)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 国民の声が届く(2005.12.23)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 証人喚問打ち合わせ(2005.12.29)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 二度目の証人喚問(2006.01.11)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 転がりだしたか?!(2006.01.13)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: ストレスのたまる証人喚問(2006.01.17)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 証人喚問の反響(2006.01.19)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 反省と新たな決意(2006.01.27)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 住民の目線(2006.01.29)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 波状攻撃(2006.02.13)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 政倫審(2006.02.13)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 耐震強度偽装集中審議(2006.02.20)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 優しい(?)質疑(2006.03.14)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 終わらない耐震偽装問題(2006.03.29)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 大詰めか、耐震偽装捜査(2006.04.14)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 160日目の逮捕(2006.04.26)
・まぶちすみおの「不易塾」日記: 本会議代表質問(2006.04.28)
・きっこのブログ: 建築界のゴールデントライアングル(2005.11.20)
・きっこのブログ: 信用もマッサカサマ(2005.11.21)
・きっこのブログ: 民営化の落とし穴(2005.11.22)
・きっこのブログ: 本当の黒幕は?(2005.11.24)
・きっこのブログ: 小嶋と犬山のヘッポコ漫才(2005.11.26)
・きっこのブログ: いよいよ大詰めか?(2005.11.30)
・きっこのブログ: これがすべての構図です(2005.12.01)
・きっこのブログ: 素人が建てたホテル(2005.12.03)
・きっこのブログ: そうです、変なおじさんです(笑)(2005.12.04)
・きっこのブログ: レイザーラモンHG改めレイザーラモンSG(2005.12.06)
・きっこのブログ: 黒幕の黒幕はみんな黒幕だ(笑)(2005.12.08)
・きっこのブログ: 政・官・民の三位一体(2005.12.09)
・きっこのブログ: 捕らぬジジイの皮算用(2005.12.12)
・きっこのブログ: 馬淵議員VS内河健(2005.12.15)
・きっこのブログ: イーホームズ社長からのメール(2005.12.19)
・きっこのブログ: トカゲのシッポ(2005.12.22)
・きっこのブログ: お茶を濁します(笑)(2005.12.25)
・きっこのブログ: とっとこハムスケ絶体絶命!(2006.01.16)
・きっこのブログ: オジャマモンの証人喚問(2006.01.17)
・きっこのブログ: オジャマモンとホリエモン(2006.01.18)
・きっこのブログ: 嘘つきは誰だ?(2006.01.19)
・きっこのブログ: グランドステージ川崎大師(2006.02.10)
≪ 閉じる
2006年04月27日 (木)
さて、このエントリーでようやく本題ともいうべき耐震強度偽装問題への提言(素人の暴論)に入りたいと思うが、その前に時事ネタを一つ。周知の通り、4月26日、とうとう耐震強度偽装事件の一斉逮捕が行われた。この問題を国会で最も鋭く追究して来られた民主党議員の馬淵澄夫氏もご自身のブログで「160日目の逮捕」というタイトルでエントリーされているが決して感慨に耽ってなどいない。その文末で〈160日目の逮捕は、新たな展開のゴングでもある。〉と結ばれているように、彼の視線は〈平成10年の建築基準法改正の議論の時に、制度の抜本的改正を行わねばならない立場にいる建設省ならびに与党の議員たちの不作為の責〉と〈建築基準法改正審議〉に向いている。
しかし、私個人としては行政側の問題は馬淵氏らにお任せするとして、むしろ今回逮捕された面々+αに、あくまで「建築」という次元に踏み留まった上での追究をしていきたいと考えている。それは私が彼らに「建築」という「業」で生きてきたからには「建築」という「業」においての責任をしっかり果たしてもらいたいと考えているからだ。
(まあ、その辺が素人の無邪気な暴論・空論と言えるところでもあるんだけど)
そのために彼らに実施してもらいたいと考えたのが「提言1」で早々に結論づけた〈退去勧告の出された一連のマンションを耐震構造から免震構造に置き換えよ!〉である。
もちろん彼らは建築士資格を剥奪されたり、破産申請していたりと既にそれを実現する実行力はもう持ち合わせてないだろう。しかし、それを実現させるために奔走してもらうことは刑期を終えれば可能だし、たとえ拘束中の身でも彼らの発言の伝搬力は他の専門家の声を遙かに凌ぐ力を持っている。良くも悪くも彼らはメディアの寵児であるのだ。そのことにもっと意識的になってほしい(姉歯氏はなってるのかもしれないが)。
ところで耐震強度偽装で退去勧告の出されたマンションのうち、幾つかのマンション住民(例: GS東向島・GS藤沢)は解体→建て替えを決議したそうだが、国の支援をアテにした解決方法が全国規模でどこまで可能なのだろうか? 私はその決議が見切り発進のものでないことを祈るが、しかし、建て替えるだけの予算と覚悟があるならば、ここは被害者住民たちが一丸となって全被害マンション免震化を再考してみるべきと思うのである。そこで重要なのは個別にこの問題を協議するのではなく、被害マンション住人同士がネットワークを組んで、スクラム状態でこの問題に立ち向かうことだ。そして「免震建築は高くつく」という常識がねじれた常識であることに彼らが気づいたとき、国民の注目を集める彼らの発言はそのねじれをまっすぐにさせる可能性を持つはずだ。言うなれば被害マンションが免震化実践のキャンペーンモデルになるというわけだ。
そしてここで使えるのが今回逮捕された面々+αである。
これまでのエントリーでも再三繰り返してきたように、免震化を訴えれば当然既得権益耐震軍団の抵抗が始まるだろう。そのとき彼らに矢面に立ってもらって、あくまで「建築」という「業」のプロフェッショナルとして、被害住民の訴えをフォローする立場に回ってもらいたい。なぜなら彼らはある意味この業界ではもう失うもののない怖いモノなし状態であるはずだからだ。そして彼らの行動なり言動は好都合にもマスコミが延々追いかけ回してくれている。被害住民からすれば、彼らの協力など以ての外の話なのかもしれない。しかし、彼らはまだ取り返しのつかないことをしてしまった後の人間ではない(つまりまだこの問題で死者が出るようなことにはなっていない)のである。
それに彼らがこれから詐欺容疑等で実刑判決を下されたとしても、被害住民たちの腹の虫は収まるだろうか? おそらく彼らが真に責任を取り得る場があるとするならば、それは彼らが「業」としてきた「建築」という現場において他ないように思うのだ。
マンション住人は「建築家と施主」の施主の立場にあるものではないが、しかし、そのマンションを選んだという時点でデベロッパーの向こう側にある関係性(施工者・設計者・確認業者等からなる)とも共生関係にあったことを今回の事件は教えてくれたような気がする。マンションとはいえ、そこは人が生活する場であり、どんなにシステム化されていようとも、人の手によって作り出されたものなのだ。であるならば、こうした事件に際して、ただ被害者面で苦情だけを繰り返していても、それは自分の住処を消費しているにすぎない淋しいものとするだけである。それよりはデベロッパーと同時にその向こう側にあったものまでを見据え、解決への道を彼らを徒に排除するというのではなく、探ってみてもらいたい。彼らが道を踏み過ったのは事実だろうが、彼らも元はといえば「建築」に何らかの思いを来してこの業界に入ってきた人たちなのだ。もちろん未だに責任回避することしか頭にない者は話にならないが、真正面からこの問題に立ち向かおうとする者がいるならば、それを受け入れ、良い意味で使ってやってほしい。
私は現時点でも被害者住民と作り手側の共生(コラボ)が、そしてメディアや一般市民を巻き込むことが、この問題(事件ではない)の解決の鍵となると信じている。というか、そのくらいの挙党一致体制を敷かないと、結局は既得権益層の良いようにあしらわれるだけで終わってしまいそうなことをただただ危惧するばかりなのである。
≪ 閉じる
2006年04月25日 (火)
このエントリーでは「耐震強度偽装問題への提言2」で書いた〈耐震建築が既に一つの「体制」として一人歩きし、産官学が民を顧みずに既得権益に預かろうとする図式(歴史)が成立してしまった〉ということに関して、もう一歩踏み込んだ具体論を展開しておく。本来「提言2」でそれは済ませておくべきだったのだが、毎度お馴染みの長文化が始まってたので、ちょいと遠慮すべき?という老婆心が働いてしまったのである。
さて、ここでは説明を簡素化するため、冒頭で引用した問題は「耐震既得権益問題」と名付けることとする。それでこの耐震既得権益問題で最初に検証としようと考えているのが一番意外に思われるかもしれない「学」の領域と耐震建築の関係についてである。
「学」の領域には研究者・開発者と並んで、建築家という若干特殊な職種も加えていいかもしれない。そんな彼らが耐震建築のどんな既得権益に固執するかというと、まず一つは彼らの惰性的習慣である。端的にいえば彼らは耐震建築で計画することに馴れ過ぎてしまってわざわざ新しいことに取り掛かる手間を嫌う。その手間は技術的な問題のみならず、法的な問題でより一層求められるから余計に鬱陶しく感じられるはずだ。
そして手間が掛かるということは、当然それはそのままコストに跳ね返ってくる。
それが「免震建築は高くつく」という業界の常識に繋がるわけだ。
他方で、今の話とはある意味では対照的なようにも見える話がもう一つある。
免震建築は「提言2」でも触れたように耐震建築に遅れを取ったものの、多田英之氏の著書の帯で免震建築においてはその〈能力を遺憾なく発揮するシステムが既に完成し、すべてのデータが公表されている〉とされるものにまでなっている。その技術的根拠については氏の著書等を手にしてほしいが、それに対して耐震建築は地震と構造物の関係を「みなし」としてしか計れず、依然として理論的な体系化ができていない。
このことによって何が生ずるかというと、耐震建築の方が永遠にその強度を高めるための細部の研究・開発が可能になるのである。そこにはもちろん研究者たちの研究心をくすぐる良い意味での開発意欲ももたらされるのであろうが、根源的なところではその研究や開発は対症療法・各論に過ぎない。多田氏の言葉を借りれば〈研究者が論文を書きやすい、ということのために「部分的」なものがずっとはびこってきた〉という事実は知っておかなければならない。無論これも研究費というコストと繋がる話である。
以上、一番意外な「学」の耐震既得権益問題を説明することで、残る「産官」の説明はさほどいらなくなっただろう。言うまでもなく、それらも手間の問題から免震を避けるか、コスト増という選択肢のみが「民」には与えられ、また耐震建築の非完結性を「不安」という煽りに置き換えて、安心のための強度=コストアップが図られていく。
つまり耐震建築というのは「産官学」どの領域にとっても非常に都合の良いアプリケーションなのだ。というか、逆にいえば既に体系として完成している免震建築が一般に流通し、生産ラインに乗るような事態となってしまったら、彼らは大きな金の儲け口(既得権益)を失ってしまうことになるのだ。そうならないためにも彼らにとっては「免震建築は高くつく」という幻想が一般市民に染み込んでいないとならない。
そうした「産官学」が既得権益にぶらさがって「民」を一向に顧みない状況を瓦解させるのに、今回の耐震強度偽装事件は多くのきっかけを与えてくれると思うのだ。
≪ 閉じる
2006年04月24日 (月)
総領町帰省中に田んぼのあぜ道で撮った土筆(つくし)の写真を flickr にアップ。
ツクシを「土筆」と書くことを今回文字変換して初めて知った。岩波国語辞典によれば「土手などに筆の形をして生える」と書いてあって、まあ、そのまんまの当て字だ。
長らく土筆を食べた記憶がない。と妻に写真を見せながら話すと土筆のあるところにはおしっこが掛かってることが多いから気をつけた方がよいとのこと。てか、おしっこが掛かると土筆はより一層育ちやすいんだとか?(汗)
flickr の写真は黄砂の吹いた夕まずめに撮ったのだが、なぜだか妙に赤っぽいサイケデリックカラーの写真に仕上がってしまった。土筆の回り一面に姫踊子草が咲いていて、その薄紫色が反射してこうなってしまったのか? 結局土筆はまだ食べていない。
≪ 閉じる
2006年04月20日 (木)
このエントリーでは当初、前エントリーの終わりの方で予告していた「より実践的なレベルで免震建築の話をどう耐震強度偽装問題に切り込ませたらよいかについて」書くつもりでいた。しかし、理屈っぽい話ばかりずっと続くと疲れるので、このエントリーはちょっと軽い話題(事例を中心に紹介して)をして閑話休題ということにしたい。
まずこれまで解決案として打ち出してきた免震建築であるが、実際にそれが取り入れられている有名建築を3つほど挙げてみることにする。ちなみにこの3つの建築が免震建築であることを知ったのは、丸激のトークでと多田英之氏の著作によってである。
その一つ目はライブドア事件のせいで最近めっきり評判の悪くなった六本木ヒルズ。噂によると Yahoo! も「ヒルズ族」というマイナスイメージを嫌ってテナントから離れるとかいう話を聞いたこともある。個人的には差したる興味もないので、あそこが廃墟になろうとどうなろうと知ったこっちゃないのだが(ってか、森ビルというくらいだから、この際、各階の窓を取っ払って床には土を盛って植樹して高層の森にしちゃってはどうだろうか?)、それはともかくあのビルは免震建築で出来ているらしい。六本木ヒルズのサイトに〈「六本木ヒルズ震災訓練」と「防災ボランティアフェア」〉というプレスリリースページがあって「ハード面の対策として、建物には最新の制振・免震構造を取り入れているため、大型の地震でも構造部材への損傷がほとんどなく建物機能、都市機能を維持します」と書かれているので、より厳密にいうと制震・免震の混構造ということになるようだが。。
続いて紹介するのはあまり建物としてのイメージ自体が流通しているものではないが、誰でもその存在があることだけは知っている首相官邸。それも2002年に竣工した新官邸ばかりか、その完成と共に曳家(ひきや)工事を始めた旧官邸もまた免震化されたのである。こうした古い建物を免震化することを「免震レトロフィット」というらしいのだが、それについてはもう一つ紹介予定の免震建築で触れるつもりである。
それとどうもこの首相官邸は多田氏が免震の研究を積んで来られた福岡大学が関係しているようなので、定年退職されたとはいえ、多田氏も一枚噛んでいるに違いない。
しかし、小泉首相に限って言えば、彼は他人と同等に自分の命もそんなに惜しんでない人に見えるので(そこが並の政治家とはちょっと違う)、地震で自分だけ救われたいなんて決して思ってなさそうにも見えるのだが(汗)
そして「免震レトロフィット」として3つ目に紹介するのが、「中之島公会堂」の名で知られる大阪市中央公会堂である。この建物の建て替え計画は安藤忠雄氏が内部空間に卵型のホールを挿入するというぶっ飛んだ案を出して注目され、当時は東京で学生だった私はワケもわからずスゲーとか思ってその建物の存在だけは知っていた。しかし、それがその後どうなったか知らぬまま、私自身が大阪に住み始め、気づけば日常の中で中之島公会堂をふつうに公会堂として利用するようになっていた。それが実は多田氏の尽力により免震化という形で建て替えられたことを、恥ずかしくも彼の著作によって知ったのである。それは少しばかり大人になった今の私からすれば最適解だったのではないか?と思う。そして若気の至りで卵に魅了された時期を経ていただけに、余計にこの話は興味深く読むことができたようにも思う。そして、さらなる因縁話を打ち明けるならば、この中之島公会堂の免震レトロフィット設計を担当したのは日建設計(後日、TKYMさんのコメントにより日建設計の設計ではなく、坂倉、平田、青山などの設計共同企業体による設計であることが判明)であり、多田氏は日建設計の出身なのである。日建設計と言ったらば、そう、旧阪急梅田駅コンコースの建て替え工事で設計を担当するのが日建設計なのだ。まあ、このあたりの話はまた改めて機会を作って、今回の耐震強度偽装問題としてではなく、阪急コンコースの話として取り上げられればと思っている。
以上、3つの免震建築の建物を紹介したが、要はここで伝えておきたかったのは、上層社会においては地震対策には免震化というのが完全に主流の手法になって来ているということだ。それも免震が魅力的なのは「免震レトロフィット」で示し得ているように既存の耐震建築(それも近代建築まで)を免震化することが可能だということだ。
そしてこの「耐震強度偽装問題への提言」シリーズのエントリーで目的としているのが現在の上層社会・上層階級にしか存在してないかのように見える免震建築を中産階級ないし一般市民にまで引きづり下ろせ!ということなのだ。それは多田氏の著作を読む限り、ある部分の堰を崩してしまえば簡単に実現できるように思える話なのに、それが一部の既得権益層によって知られないように囲い込まれている。あるいは「免震建築は高くつく」という幻想によって端からの常識として諦めさせられてしまっている。
しかし、今も何とかマスコミの注目を寄せ続けている耐震強度偽装事件がそれを切り崩す恰好の手段となるように私には思えてならない。そのために必要な条件を次か次の次のエントリーで考えていきたいと思う。「次の次の」としたのは、この閑話でもう一つ書き残しているところがあるからである。
【写真上】
2004.03.07 15:05 上棟式の翌日、妻&ウスケスケと東京観光での六本木ヒルズ。
建物自体に魅力を感じてないので、1枚も建物単体の写真を撮ってない(`Θ´)
クリックすると建物内部の写真(2004.03.07 17:30)。
【写真下】
2005.08.26 14:26 中之島公会堂の南側面天井部。
クリックすると北東側からの中之島公会堂夜景(2005.12.16 20:13)
≪ 閉じる
2006年04月18日 (火)
現状の耐震偽装マンションの構造を免震化するという手法はコストが掛かり過ぎて話にならないと私の見たワイドショーではパネル説明されていた(※1)。ところが「耐震強度偽装問題への提言1」で取り上げた多田英之氏のトークや著作ではまったくそれとは逆のことが言われている。つまりは「免震建築は耐震建築に比べてコストが安くなる」というわけだが、私にはそのどちらが正しいのかを判断することはできない。ただ、多田氏の著作を読み進めると実際どちらの言ってることも正しく捉えられそうな視点が存在することは想像でき、その両義性をこのエントリーでは繙いてみようと思うが、それを始める前にまずは前エントリーで予告してあった耐震建築と免震建築の置かれている立場の違いについて軽く触れておきたい。
耐震建築と免震建築の違いはその字義からもおおよそのところは推測可能だと思うが、前出の多田英之氏が代表を務める日本免震研究センターのサイトにその違いをわかりやすく見せたかわいい GIF アニメがあるので、それをまずは縮小転載させていただくこととする(尚、日本免震研究センターにはいずれリンクや画像転載の件で連絡取らせていただくつもりではいるが、それはもう少し議論の見えたところまでこのシリーズを続けてからにしたいと思っているので、先に見つけられたとしたらご勘弁である)。
詳しくはこの図の記されたページをご覧いただくのが手っ取り早いが、その原理的な違いは耐震が「地震に耐える構造を考える」であるのに対し、免震が「空間そのものを地震から守る」ということにある。その結果として、耐震はどんなに頑丈に作って倒壊を免れたとしても激しい地震であれば家具が倒れたりということがあるのに対し、免震は揺れ自体がゆっくりなので家具損傷のおそれはほとんどない。
こうした説明を読むと私を含む多くの一般市民は免震建築の方がいいじゃん!って思うのではないだろうか? もちろんこの説明は免震建築を奨励するサイトのものなので、免震建築のメリットが引き立つようになってはいるのだろう。だが、そうした事情を差し引いたとしても、その原理から考えて免震建築に分があるように見えてしまうのは、そう外れた読み取り方ではないはずだ(一般的に考えれば考えるほど)。ところが現実的に国内の大半の建築物は耐震構造で作られているのである。
多田氏の著書『建築の設計と責任』によれば「免震という概念自体は古くからあった」が、戦前は「解析技術が十分でない」ことから実際の建物への適用ができなかったと記されている。昭和初期には「柔剛論争」なる建築界を二分する大論争も起きていたらしい。そこで技術解決で先んじたことにより勝者となった「剛」たるところの耐震建築が建築業界の主流となり、「柔」たるところの免震建築は敗北するばかりかタブー扱いとなってしまう。そしてそれを決定的なものとしたのが、建築基準法だったという。
勘の良い人であれば、ここまでの話でそこから先、何が起きたかは想像できるだろう。
免震建築はその後「解析技術が十分」な時代となっても、そう簡単にそれを実現することができなかった。耐震建築が既に一つの「体制」として一人歩きし、産官学が民を顧みずに既得権益に預かろうとする図式(歴史)が成立してしまったのだ。こういった話はもうどの分野からも聞こえてくる社会の膿のような話だが、それが建築業界の場合、よく話題になる談合問題以外でも、免震建築から耐震建築を見つめ直すことによって焙り出し可能なのである。
以上、話は長くなったが、免震建築と耐震建築が単純に並列の選択肢として置かれているわけではないことはご理解いただけたのではないかと思う。さて、そこで冒頭のコストの両義性に話は戻るのだが、免震建築が高くつくというワイドショーコメントがなぜに生まれるかといえば、それはまさにこの免震建築の置かれた立場の弱さによるものではないのだろうか? というのも、先ほど耐震建築の既得権と書いたが、良くも悪くも耐震建築は既存の工法となっているため、生産ラインも安定していて、大量受発注が敏速に行える体制だけは整っている。それに対して免震建築は多田氏によればニセモノ免震も出回っているようで、思わぬところでのコスト増大ということも計算に入れておかなければならない。
何だかこうしたことを書いていると耐震建築が自民党で免震建築が民主党であるような気分になってくるのだが、まあ、しかし、上記でリンクを張った日本免震研究センターのページに書かれた「免震建築は耐震建築に比べてコストが安くなる」というのは原理的に考えれば素人でも理解可能な話なのである。要はそこからそのための信用できる体制が作れているかの問題なのだ。
そこで次のエントリー(間に別テーマのエントリーが入ってくるかもしれないが)ではより実践的なレベルで免震建築の話をどう耐震強度偽装問題に切り込ませたらよいかについて考えてみたい。ただ、ここ数日、耐震強度偽装事件の主役級が一斉に事情聴取、立件という運びとなっており、みんな逮捕ということになってしまうと個人的にはこの人たちにも一役買って欲しいと思っていたので(この業界での信用ゼロ状態になってしまったからこそ怖いモノなしで出来ることもあると思うのだ)、ちょっと自分の提言しようとしていたアイデアも変更を余儀なくされそうである。
本当は彼らもただ刑事&賠償責任を負わされるだけでなく、一緒に解決すべき問題だと思うんだけどなぁ(それこそが本当の「責任」というべきものである)。住民は彼らの顔も見たくないんだろうけど、現実的に彼らほどメディアを動かせる顔を持ったキャラも他にはいないわけで、その利用価値を失うのは今後の大きな損失である。
□◇
※1)後日、検索チェック中に彼の問題人物と目されながらもうまく逃げおおせた感のある伊藤公介元国土庁長官が、実は小嶋社長から相談受けていたことというのが『免震技術のある大成建設を紹介してほしい』ということで、また伊藤氏も「自分も免震技術について勉強したいと思ったので出向いた」と話していたということを遅ればせながら知った。
これが事実だとすれば、仮に彼らが逃げの一手でこの話をしていたとしても、私は彼らにある一定の評価は与えたいと思う。というか、彼らに無理だと諭した技術者の根拠を再度問い直してみる必要があるのではないだろうか?(もちろんそれが「かなり難しい」と言われる業界の通念自体を見直す形で、かつ多田氏を交えた複数の専門家を招く形においてである)
読売新聞: 伊藤元国土庁長官、ヒューザー社長とゼネコンへ(2005.12.22)
読売新聞:「小嶋社長に同行も、国交省に紹介せず」伊藤元長官(2006.01.19)
≪ 閉じる
2006年04月15日 (土)
これまでこのブログでは冗談程度にしか耐震偽装の問題について触れてこなかった。
それは誰が悪いだの誰に責任があるだのと今更ここで書いてみても一般論の域を到底出るものではないし、きっこのブログのような特別な情報を持ち合わせているわけでもないので、無闇に検出されるエントリー数を増やして本当に必要な情報を求めている当事者たち(マンション住民?)の邪魔をしたくないとも思ったのである(ってことは冗談でも触れるべきじゃなかったとも言えるけど)。
それともう一つ、これは他の社会現象とも大枠で繋がりそうな話なのだが、昨今の建築物に規制を与えているはずの建築基準法──その法制度のあり方そのものに対して以前から漠然とした疑問を抱いていて、ただ、その法令については何ら詳しい知識があるわけではないので、あまりいい加減なことも書けないと思っていたのである。
ところが、去年の秋から視聴し始めた丸激トーク・オン・デマンド「videonews.com」の2月11日の回にゲスト出演した多田英之氏(日本免震研究センター代表・一級建築士)の話「耐震偽装の深層──安全な建物とは何なのか」を聞いたことによって、それまで漠然としていた疑問の輪郭がかなり鮮明なものとなってきた。
そこで早速、彼の著書『建築の設計と責任──なぜ今も地震で建物が壊れるのか』(岩波書店・¥2.310-)を購入。またトーク中に取り上げられた『法律と科学技術──第三者機関が消滅する』という非売品書籍も入手。これらの書籍は共に耐震強度偽装問題が世で騒がれる前に書き下ろされたものであったが、まさにこうした問題が先の法制度上の問題として必然的に浮上することを説いた警告の書だったと言って間違いない。トークを聞き始めたときには、威勢の良い爺さんが出てきたもんだくらいの感じで見ていたのだが、聞き手の宮台真司氏も繰り返されるように目から鱗の話だらけで途中から釘付けとなってしまった。
なお、このエントリーではタイトルに〈1〉と付けているように、まずは耐震強度偽装問題への提言として、その結論だけ述べて、続くエントリーで多田氏の著作やトークを参照しながら、その結論に対する補足説明の形を取っていくつもりである。
もちろん多田氏の書籍を参照するからといって、私の提言が素人の域を出るものとなるわけでないことは心得ているつもりである。それを承知で提言という形でのエントリーをしようと思ったのは、一向に解決への糸口の見えてこない難題に対しては門外漢の妄想的暴論が思わぬところでヒントとなることもあるのではないか?と思ったこと。またそれと他にもう一つ理由があるのだが、それは今後のエントリーで自分の出した結論への説明を加えていく過程で伝わるのではないかと思っている。
さて、その結論だが、それは免震建築の第一人者である多田氏の影響をそのまま受けてしまったんじゃないか?と疑われそうだが、私の提言する結論とは、退去勧告の出された一連のマンションを耐震構造から免震構造に置き換えよ!というものである。
なんだ!素人の暴論と勿体ぶってそんなあり来たりな話か!と拍子抜けされるかもしれない。実際、免震構造化の話はワイドショーレベルでも取り沙汰されていて、コストが掛かり過ぎることを理由に選択肢から外される場面を私も何度か目にしている。だが、その「コストが掛かり過ぎるから」と諦められている、そこのところにこの問題の入口があるように私には見えるのだ。その入口をこじ開けるためにも、耐震建築と免震建築の国内で置かれている立場をもう少し見えやすくしておく必要がある。
それを次のエントリーでまずはなるべく平たく説明していきたい。
≪ 閉じる
2006年04月08日 (土)
「灰塚ダム試験湛水」「雪の灰塚ダム」と定点観測化し出した灰塚ダム。
今回は「黄砂の苗代」でも予告したように、ある意味貴重な黄砂の日の定点写真ということになった。この冒頭の写真はまだそれでも視界が開けている方だが、flickr にアップした写真の中には遠方がほとんど見えない写真もある。また広島第6区の民主党議員佐藤こうじ氏の「再起」ポスターだけが近景でくっきり見えてる写真などをご覧いただけば砂塵が如何に舞っていたかが見て取れるはずだ。
それと黄砂ではないが、PHスタジオというアートチームが灰塚アースワークプロジェクトの一プランとして取り組まれていた「船をつくる話」がいよいよ完結(?)したようで、別の船に引かれて展示場所(?)に移動し、お披露目イベントのようなことも行われたようだが、これについてはノータッチだったので、興味のある方はこれまでのリンク先を辿っていただければと思う。
ところで今回のダム見学ではひょっとするとダム堤体も見られるか?と思っていたのだが、工事の再開によりその区域は通行止めとなってしまっていた。去年の夏から行われてきた試験湛水は3月7日に最高水位であるサーチャージ水位に到達し、3月13日より常時満水位までの水位降下を開始。つまり一旦満タンになるまで溜めた水を堤体のゲートから放水し始めたわけだが、その様子は3月中一般公開されていたらしく、妻の幼馴染みの友人が携帯で撮った写真を送ってくれたので、それを以下に掲載しておく。
そういえば前回の帰省時、義父が「鴇がおる」などと惚けたことを言うので困っていたのだが、実はそれが鴇ではなくてコウノトリを差していたことが今回わかった。ダムのビューポイントには「コウノトリを観察する際の注意事項」なる張り紙があって、自治体の公式サイトには「コウノトリ情報」なるページも用意されていた。残念ながら今回コウノトリにはお目に掛かれなかったが、義父は本当かどうかはわからんけど何度か見たらしい(笑) 実際、我々以外にもコウノトリを見に来ているらしきダム見学客には何度かすれ違った。
ところで後日の夕方ニュースでたまたま見たのだが、兵庫県豊岡市には兵庫県立コウノトリの郷公園なるところがあって、そこでは野生のコウノトリと共に繁殖飼育させたコウノトリの放鳥・野生復帰を試みているらしい。しかし、これは灰塚でも同じ事だが、やはりある種の観光目的と化している部分があって、住民にもコウノトリにも「自然保護」の名の下に何某かの押し付けが発生しているように見えなくもなかった。
山本アナがこの問題は難しいとしきりに言われていたが、「景観」問題と同質のところで手放しには歓迎できない話である。
≪ 閉じる
去年に続いて今年も妻の実家(広島県庄原市総領町)で「苗代」の手伝いをしてきた。
しかし、今年は苗代当日、物凄い黄砂が西日本を中心に観測され、また寒冷前線の通過で、これまた物凄い強風が吹き荒れ、大きなビニールシートを被せてビニールハウスを作る苗代作業の日としては最悪の一日だった。我々が行かなければ間違いなく別の日に行われていたことだろう。我々がいたおかげで四隅を押さえられ、強風の中でもどうにかシートを被せてしまえたが、仕上がりも雑で手伝って良かったのかな?とも思う。
尚、上の写真だとあまり黄砂の雰囲気は感じられないだろうが、後日、灰塚ダムのその後の写真をアップするつもりなので、そちらで黄砂の様子は実感していただきたい。
しかし、今回総領に D50 を持って行って感じたのは、デジタル一眼レフは農作業中の撮影には決定的に向かないということだった。去年は農作業をしつつ、胸ポケットからちょいと G400 を取り出して撮影なんてことも気軽に出来ていたのだが、今年は撮影のためにいちいち自分の作業を中断しなければならない。要するにデジ一眼だとカメラが主役に回ってしまうのである。それはある意味、これまでの自分の撮影スタイルとは真逆のところで取り扱わねばならないツールにカメラがなってしまっているということである。その辺のカメラ問題は機会を改めてまたエントリーしたい。
ちなみに今年は稲の種を貰ってきているので、苗となる手前の段階から「稲作@ベランダ」に挑戦である。ミニビニールハウスでも作ってまおうかな。プチ家づくり気分で。
≪ 閉じる
2006年04月03日 (月)
以前このブログでは「石 求ム!」と庭石を募集する告知をしたことがあったが、今回はそれとは逆に余った土いりませんか?の告知である。
「蟻鱒鳶ル初見学」で紹介した岡さんの現場で、掘り出した土を収めた土嚢が山盛り状態らしい。最終的な処分のアテはあるようなので困ってるということではないが、東京近郊にお住まいで自分で取りに来られるという方おられましたら、こちらまでコメントもしくはコンタクトフォームからお問い合わせください。岡さんに話繋ぎます。
岡さん曰く、日に日に掘り出す土が粘土化してるらしいので、もう畑には使えないだろうとのことですが、それでも用途があって欲しいという方。岡さん的には「土が欲しい」って人と出会ってみたいという好奇心は強く持たれてるようです。
≪ 閉じる