すずらん通りという名称は芸工展マップ上に明記されていない(以前のはあったらしい)のだが、よみせ通りを谷中ぎんざよりもさらに北上して向かって左手3本目の不忍通りとの間の道のことを言う。東京の商店街を歩こう「文京区/千駄木3すずらん通り商店会」の言葉を借りれば「夜の店」の商店街とも言うべき、スナックや料理屋の並ぶ小さな街路で、おそらく私は今回初めてここを通ったはずだ。午前中だったので閑散としていたが、夜は下町の中の一つ裏に入った世界の小さな賑わいを見せているにちがいない。
中原絵亜さんの企画は、そんなすずらん通りの少し奥まったところのスペースを利用してトタン塀には今年の「空の日記」を、その向かいのドアを開くと階段のみが存在する不思議なスペースでは去年の芸工展での日記や詩、また今年の芸工展で開催中の他の企画のDMが階段をうまいこと利用して展示されていた(谷中M類栖/1f のもあった)。
「空の日記」というのは、芸工展期間中の「毎日の空」の写真に「毎日の詩」を書き込んでいくというものである。つまりそれは毎日一枚ずつ増えていくというわけだ。ただ、詩の書かれてない空の写真が二日分すでに吊されてたけど、あれはスペース確保用だったのだろうか?
とまあ、そんな細かいことはさておき、それらが洗濯鋏で干されたようになっているところが何とも愛嬌があって楽しかった。
また、向かいのちょっと入っていいのかな?って感じの2つ並んだドアのうちの一つも開けて中に入れるようになっていて、さきほども書いたように入っていきなり階段があって、階段を上がるとそのまま行き止まりになっている(もちろん上った先にはドアがあって、平常は居住空間用の階段として使われているのだろう)。
その階段一つ一つに並べられた他の企画のDMを見ていると、この作家さんは会期中に芸工展をいろいろと回られて、そうして回った経験それ自体を作品化されてるんだなぁということがしみじみと感じられる。マップ上では隅っこなのだが、今年の芸工展が濃縮されてここにあるといっても過言ではないだろう。そして、それが5年間続いてきてるというところが何とも感慨深い。
作家ご本人とはその場では会えなかったが、そこから程ないところで偶然出くわし、挨拶を交わした。なぜ互いに顔を知っていたかといえば、すでにご本人は谷中M類栖/1f ご訪問済みだったからである(笑)
【写真上】2006.10.21 11:28, 千駄木・すずらん通り/94.中原絵亜: 空の日記(詩展)
【写真中】2006.10.21 11:24, 千駄木・すずらん通り
【写真下】2006.10.21 11:26, 千駄木・すずらん通り/94.中原絵亜: 空の日記(詩展)
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