February 15, 2004

ヤキバノカエリ

040215_kumagai.jpgNHKの新日曜美術館で熊谷守一(※1)の特集をやっていたのだが、「ヤキバノカエリ」という云わば彼の転機となった作品(熊谷スタイルとでもいうべきものが築かれた)を見ていて、ふと、このサイトと色調が似てるなと思った。ま、あくまで偶然ではあるが、下の comments (0) ってとこをクリックすればフォームの入力欄は白である(笑)
ま、肝心の境界線の赤はないのだけれど。。そういえば我が家の壁にほとんど壁と同化しかけた感じで貼ってあるブラックのポスター(※2)にいるブラックお得意の鳥が白いのだが、遺骨の白と同じように見えてしまう。そうやって改めて見返すと、あの鳥と遺骨はいったいどっちが生きててどっちが死んでいるんだろう? 見れば見るほど頭が混乱してきてしまった。

有楽町線で池袋の一つ先の要町という駅に熊谷作品のサイズにふさわしい大きさの熊谷守一美術館があるので、もう一度見ておいてもいいかもしれない。
なお、現在『熊谷守一展──超俗の画人、いのちのかたち』が名古屋、京都、大阪、静岡と巡回中(東京、やらないのね)で先月、名古屋に行った折にJR名古屋高島屋で母と見てしまったのだが、疲弊しきった状態で見ているので、3/31〜4/12の大阪展(なんば高島屋)を見逃さないようにせねば!である。


□◇
※1)熊谷守一(くまがいもりかず)[1880-1977]
主作品のほとんどが60歳を過ぎてから描かれているという、それを思えばうちの爺さんももっと長生きすれば(69歳没)可能性がなかったわけではなかったのかも?とも思いたくなるが、そこはまあ、仙人といわれる熊谷守一だからこその話だろう。だって彼はその頃から池袋の15坪の庭のある自邸(現・熊谷守一美術館)にほとんど外出することもなく引き籠もっていたというのだから。だが、その庭での散歩を日々の楽しみとする熊谷がそこに無限の宇宙を見ていたことはその遺された作品からも容易に見て取れる。彼の詳しい画歴等は下記美術館の略歴紹介に任せ、ここでは彼が95歳のときに自宅でNHKの『スタジオ102 95歳の熊谷守一画伯』という番組に出たときのコメントを一部抜粋しておく。
熊谷守一記念館(岐阜・付知町)
熊谷守一美術館(東京・要町)

NHK総合テレビ、1975年3月25日放送
「絵なんていうのはねえ、そら何にも変わらない。白ほどきれいなものないですからねえ。けども人間というものは情けないもんで、絵を描いて遊ぼうというですねえ。白いのはねえ、何がきれいだっていわれたってねえ、キャンバスだってそれ以上はよくできないですわねえ。嫌ならよしてしまえばいいんだけども、それは人っていうのは情けない存在がねえ‥‥。もっといいことあればねえ、そんなことしやしません。」

※2)ブラックのポスター
アトリエ VI 1950-51年
カンヴァス、油彩 130×162.5cm
サン−ポール−ド−ヴァンス、マーグ財団蔵


by m-louis : February 15, 2004 08:45 PM
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comments

先日、東京の熊谷守一美術館に行きました。小さくてアットホームな感じでとても素敵な美術館でした。毎年6月に大きな守一の企画展?をやるということをスタッフの人が行っていました。わたしは仙台在住なので足を運ぶのは難しく、近県の方々がうらやましいです。

by: tokiko : May 9, 2004 04:56 PM

静岡アートギャラリーで今、熊谷守一展が開催されてますね。
http://www.art.shizuoka-city.or.jp/program/kumagaya01.html
私は同展を名古屋で見ました。
要町の熊谷守一美術館で毎年6月に大きな企画展があるというのは知りませんでした。
情報、ありがとうございます。

ところでたまたま tokiko さんのコメントのあとにコメントくださった mizo さんは画家なんですが、彼の作風はある種、守一に通ずるところがあります。
ただいま福島のアート・スペース宙(そら)で「ほしたちのささやき」という企画展を2,3ヶ月のロングランでやられているようです。
もしご興味があれば・・

福島市松木町2-9 松木町ギャラリービル2F

mizoさんから詳しい情報が入り次第、またお知らせします。

by: m-louis : May 10, 2004 11:54 AM
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