May 04, 2005

田植え

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前回の「苗代」エントリーに続き、GWを利用して田植えの手伝いに行ってきました。
田植えは苗代と違って誰でも知ってそうな言葉ですが、試しにヤフー辞書検索すると

田植え(たうえ/たうゑ)苗代で育てた稲の苗を水田に移し植えること。[季]初夏。

と出て来ます。が、これだけでは物足りないので知恵蔵からも引用してみました。

田植え(文化-日本食文化考・米)昭和40年代に田植え機が普及してから、家族・親戚総動員しての田植えという風景は見られなくなった。そして、田植えの後、酒を酌み交わし、労働をねぎらう「さなぶり」も姿を消した。種籾を直接水田にまけば、「苗代」での苗作りや田植えという煩雑な作業は不要であるにも関わらず、田植えがおこなわれてきたのは、雑草対策である。「代掻(しろか)き」をして田んぼを平らにすると同時に、芽吹いた雑草を土の中にすきこんで殺す。雑草が一時的になくなった水田に苗代で育てた稲の苗を植えることで、初期の成長を容易にする。しかし、水田といえども、雑草の成長は早く、田植え後の「一番草」「二番草」「三番草」と呼ばれた手取り除草は農家にとって辛い作業だったが、除草剤の登場とともに、田んぼで「中耕除草機」を押す農民の姿は見えなくなった。

どことなくその変遷が村人総出で手伝いに来た時代の家づくりを連想させます。「さなぶり」は云わば「棟上げ」にあたる行事だったのでしょう。しかし、近代化の波は過疎村の隅まで行き届き、我が実家の田植えもその例に漏れず、ほとんどの部分は田植機がやってしまい、手伝いといえば田植機に苗を移すとか運ぶとかその程度のものでした。

冒頭の画像は「苗代」のエントリー最初に見せた2002年時の画像とほぼ同じ田植え前日のまだビニールハウスが取り払われていない時点での苗の様子です。

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こちらは田植え前日の水田の様子。お隣りの水田はもう田植えが終わっていました。

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前日夕方、ハウスを片付け、苗へ最後の水撒きです。相変わらず義父の専売特許。

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そして当日、私たち夫婦が起きる前(朝7時前)にはすでに農薬が撒かれ(写真右の白い粒状のものが農薬)、準備万端の状態になっていました。

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8時過ぎ、田植機が到着。義従兄弟のR三君が今年新しく買った田植機でやってくれることになっています。まずはトラックの荷台から田植機を降ろしました。

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義父は苗のケースごとに底面に付いた土を払ってから田植機に載せていきます。

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これが苗を田植機に載せた状態。背中の苗が少なくなったら手前の苗を補充します。

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乗り切らない分は運搬車に乗せて田の畔に移動。義父はR三君に田植え位置を指示しなければならないので、ケースの土を払って運ぶ作業は途中から私が請け負いました。

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田植えは水田の中程がやや深くなっているため、一部植え付けがちゃんとできずに同じところをやり直さなければならないこともありましたが、概ね順調のようです。

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一往復すると補充分含めて田植機上の苗が切れる少し前の状態になるので、そこで新しい苗を畔から受け取って補充します。

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田植機にセッティングされて不要になった苗用ケースを洗って乾かす作業は主に義母と妻がやってました。畔の横に水が流れているので楽チンです。

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しかし、それらの作業が終わってしまうとあとはR三君の田植えの様子を見守るばかりで何もやることがありゃーせん状態です。昔は家族総出だったのに、田植機恐るべし。

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二往復したところで10時のおやつ。とその前に私も田植機に乗せてもらってヤラセ写真を撮らせてもらいました。苗の受け渡し作業だけは本当にやってましたが。。

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休憩後、再びR三君が残る列を順調に往復。完全カメラ目線で余裕のポーズ。

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最後の列を終えてから手前と奥の隅を横列で往復させて田植機は11時でお役ご免。
帰り際にR三君と義父が「これで一段落付いたけぇ〜、あとは稲刈りまで一安心じゃ」と言ってたのが妙に印象に残りました。稲作って思ってたよりお気楽なんだろか?

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残る作業は我ら家族で田植機が植えきれなかったところなどを手作業で埋め合わせ。
昔はこれをすべてやってたのかと思うと、そりゃ昔の老人は腰が曲がるのも頷けます。
作業は簡単な片づけを残して12時半で終わりました。

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夕方、田んぼに出てみるとさすがにまだ田植機で掻き乱された水は濁っています。

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が、翌帰阪前には濁りも落ち着き、透き通った瑞々しい水田となってました。
しかし、レポート途中でも書いたように、どうやらこの田植えが終わると本当に一段落付いてしまって秋の収穫までに一、二度、農薬を撒く程度の仕事しかないようです。その農薬も何やらボール状のダンゴを2、3個投げ込んでおけばそれで済むらしく、ましてや去年から水田まわりに猪等が入ってこないようにと部落ぐるみで感電性の電気柵まで設けているので、ホントに手が掛かりません。
こうした手間の掛からぬ状況を可能としたのがそれこそ知恵蔵からの引用で説明されている「水田」というシステムの威力なのだと思います。ある意味、建築基準法改正で条件付けられた24時間換気システムと似てるっちゃー似てるような、、水田ははるかに前から24時間換水システムを備えていたというわけですね(笑)

尚、余った稲を少しばかり持ち帰ったので、みつばこさんの「種子の時間」に倣って今度はベランダ田植えに挑戦してみるつもりです。それといつか田植機を自分で操作してみたい!!


by m-louis : May 4, 2005 12:30 PM
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May 8, 2005 09:38 PM
田んぼとカエル
excerpt: PCからカエルの鳴き声を聴くことになるとは思わなかった。 〓「谷中M類栖」(昼版.http://m-louis.jpn.org/yanaka/data/050504_1141_frog.wav/夜版.http://m-louis.jpn.org/yanaka/data/050504_2341_frog.wav) おそらく実際にはかなりの音量になるのだろうが、PC版だと...
weblog: ノアノア
May 14, 2005 06:23 PM
田植え
excerpt: ウスケスケ&ゴマほぴはまだ小さすぎる(真実は汚れては困る)ということで田植えの手伝いはさせてもらえませんでしたが、くわる丸とカスケがその分、カスケ実家の田植えの手伝いをしっかりやりました。まあ、いつもその田で出来たお米を食べてるわけですからね。 手伝い...
weblog: くわる丸ハウス
comments

いや〜素晴らしいエントリーですね。本筋からは外れたことしかコメントできませんが、最初の写真にぱっと引き込まれ、記事を広げると、目の前に美しい水面がぱっと拡がって…。それがまた美しくて…。一点一点に見入りました。さらに、m-louis さんにも遠目ですが、お会いできましたし(^^;

by: masa : May 7, 2005 02:02 AM

>masaさん
エントリー間もなくのコメントありがとうございます(投稿日時は設定変更してますけど)。
今回は随分たくさん写真をアップしてしまいましたけど、全体的にレポート目的の写真が多くて、もう少し狙って撮った写真はそのうち Triebe.M の方にでもアップしてみるつもりです。
ちなみにこれまでにも幾度か遠目出演はしているのですが、今回の露出にあたっては妻から「私のふくらはぎが折曲がったところを写されてるせいですごく太く見える!」と厳しいツッコミ入れられてしまいました。ま、掲載許可はもらえたのですが(^^;)

by: m-louis : May 7, 2005 03:00 AM

すっごいですね!レポートも画像も。
遠くから鳥のさえずりとかも聞こえてきそうなのどかな風景。
ここを読めば、自分にも田植えが出来そうな気になってしまいました。
私も子供の頃、親戚のところで一度だけ田植えをした経験があります。
懐かしーい。

by: ノアノア : May 7, 2005 11:30 AM

すごーい。ステキ。m-louisさんの柄パンツが特に、、、(笑
田植え、楽しそうです。来年はお願いして手伝いに伺わせてもらおうかなあ。
なんかこんな故郷をお持ちの奥様がうらやましい、などと思ってしまうのでした。(そんなにノンキなモンじゃないのかも知れませんが)

by: あさみ編集長 : May 7, 2005 01:59 PM

>ノアノアさん
実は遠くからの鳥のさえずりがあったとしてもそれを見事にかき消す音がありまして、、
その音とはカエルです(^^;) 昼はまだマシなんですが、夜がこれもうマジすごい!
てなわけで、昼と夜のカエルの音をサーバに置いてみました。
http://m-louis.jpn.org/yanaka/data/050504_1141_frog.wav
http://m-louis.jpn.org/yanaka/data/050504_2341_frog.wav
でも、この夜の鳴き声を気にせず眠れる自分がちょっと怖いです。昔は気になったのに。。

>あさみ編集長さん
皆さんの「すごい」ってコメントを読んで、ようやくあの山の麓に田園の広がる光景は別世界のもんなんだな〜と気付かされました。何かいつの間にか私にも当たり前の景色になってしまってまして、ほとんど何も思わずにいる感じです。

しかし、田植えはそんなに手伝うこともないんですが、稲刈りの時期の方がもうちょっとやることありそうなんで、もしご希望でしたら!(笑)
ちなみに柄パンツは隣町で買って、そのまま置きおきしてるもの。
さすがに大阪とかではくのは躊躇しそうです(^^;)

by: m-louis : May 7, 2005 07:14 PM

この水の綺麗さは・・・グレイトですね。サプライズです。
かえるの声も聞きました。ゲロゲーロ懐かしい。
ここ十数年、私の住む地域にはかえるが居ませんでした。今の住まいは裏が山で、池も近くにあるんでかえるの声を聞けるかもしれません。
子供のころ、田んぼでドジョウとか獲ってたころがあります。昔住んでた田舎には、田んぼは普通にどこにでもあったんですが、もうしばらく見てない気がします。

懐かしい景色を見て、なんだかほっとしました。
写真の綺麗さも素晴らしいです。

by: yoshi : May 7, 2005 10:27 PM

>yoshiさん
私の場合、生まれも育ちも東京なもので、田んぼというと祖父の田舎(愛知)か友人の田舎(山梨)に行かないとないものでしたが、それでもそこに行ったときにはよくドジョウ、ザリガニ、ゲンゴロウ、タイコーチ、ミズカマキリといったあたりを捕まえては水槽で飼ってました。
カエルも何度か飼ってましたけど、大抵逃げられちゃうんですよね。
そういえば今回ベランダ用苗を持ち帰るためにビニール袋に入れて外に置いておいたら、いつの間にかカエルが入ってて、危うくカエルを持ち帰るところでした(^^;)

by: m-louis : May 8, 2005 12:17 AM

私が、岩手で過ごしている連休中、M類さんは田植えの手伝いだったんですね。苗が立派だし、いい色のグリーンですね。実際はもっと鮮やかなんだろうと思います。稲もおもしろいですが、昨年の秋植えの南部小麦は本当に冬の間中まっすぐに延びて、緑も美しく簡単だし気に入りました。小麦を採るのはかなり大変だと思いますが。こちらの稲の生育具合は今年は良くないです。どうも、4月5月の低温が苗をあまり大きくしてくれず、まだとても田植えまで進めません。とりあえず、これからまた黒米をやってみようと思ってます。その代わりに岩手で雑穀を作られている方からいただいた、茶豆を発芽させている途中です。それと、今年は棉を頂いたので、和の棉の種も発芽させてみています。まだ、岩手の記録に追われていてなかなか日々のことが書けていませんが、まぁゆっくりと。。。
ところで、今年2月に行った琵琶湖の仰木は、本当に美しい水田が広がる地域です。一部棚田も残っています。仰木の里山のブログも行った先なのでこのごろぼんやり眺めたりしてます。
http://blog.drecom.jp/_satoyama/
よかったら覗いてください。

by: mitsubako : May 10, 2005 02:27 PM

>mitsubakoさん
岩手に行かれてるのはブログで拝見しておりました。
のどかなGWを送られたようですね。
ちなみに私はまだ北は福島までしか行ったことありません。

里山ブログ拝見しましたが、このエントリーからTB送ろうか迷ってます。
しかし、滋賀って思いの外、雪多いですよね。新幹線乗るたびに思います。

ところで総領からベランダ用の苗を少し多く持ち帰りすぎてしまいまして
今度の上京時に実家用に幾らか苗を持って行くつもりでいます。
mitsubakoさん、もしご希望されるのでしたらその分も持参しますが、如何ですか?
まあ、その前に谷中でお会いする日程が合うならという条件がつくかもしれませんが。。
でも、Oさんに渡しておくという手もありますもんね。

by: m-louis : May 10, 2005 08:01 PM

M類さん
広島の苗くださるんですか!是非。。。今年はどうも発芽がうまくいかなくて、濁酒になってしまいます。(笑)多分、低温が原因ですね。気長に、続けてみます。暑くなればもうしめたものですから。稲は。
東北はこれまた奥が深いです。盛岡は考えてみるともう4度目ぐらいになるんです。次回は秋田へ行きたいですね。ローカル線にも魅了されてます。今回は遠野で東北ツーリズムなどを運営されている方をお訪ねしました。バイダルカの翻訳などもされている方で、パハヤチニカという遠野情報誌なども手がけて
いるようです。そこで馬に裸馬の状態で乗りました。
そして、タイマグラで出会った方から、和の棉の種を頂いたのですが、これまた多いので、良かったら棉もやってみませんか?暑さには強いですよ。棉の実は美しいですし。。。羊のなる木です。

by: mitsubako : May 12, 2005 02:34 PM

すごい田植えのレポートですね。過去に一度だけ手植えの田植えを経験したことがあります。現在54歳ですが、定年退職したらどこかの棚田を借りて米を作りたいと思っています。

by: kei : May 12, 2005 11:59 PM

>mitsubakoさん
何かあれからプランタに植えた苗がどんどん萎れていき、ビニール袋に入ったままの苗の塊の方が全然元気な感じなんですが、そんなわけで東京行くときに持参するつもりです。
何日滞在できるかわからないので、最悪、前にも書いたようにOさんに渡すってことにしようかと思います。しかし、綿ですか〜。なんか綿を植えるなんて考えたこともありませんでしたが、サイズによってはまだ植えられるスペースも作れるんでいただいちゃおうかな。

>keiさん
いきなりTB送ってしまいまして、、そしてコメントありがとうございます。
自分ではあまり気付いてなかったのですが、どうも背後の景色と一体化して、ただの田植えの様子が「すごい」ってものに見えるようですね。ただ、広島の県北山間部には棚田はありませんので、私には kei さんのブログの写真が非常に新鮮です。

by: m-louis : May 13, 2005 02:50 AM

もしかすると、水が足りない?のではないかと思ったり。土の質とか。。。私は昨年は泥沼土というのを利用して、結構水をひたひたとしておきました。稲はものすごい水が好きだと知りました。だから、山から流れ出る水を利用する栽培などがあるんだなと納得。
楽しみにしてます。上京の際は連絡ください。できるだけ、お会いしたいですよね。相談したいこともありますし……。
ところで、keiさんからもコメント頂けてよかったですね。是非一度、あの地域訪ねてみてくださいね。本当に棚田は人の手を感じる不思議なところです。私はkeiさんのアップ状況を見ながら、ある日突然、ちょっとまた仰木に行こうかなと思ってます。案外すぐなんですよ。
棉は、発芽しました。では、封筒で送りますね。なんとなく人から人へ種を渡すとはとても楽しい気がします。この大元は千葉で棉の栽培をし、糸を紡いでいる方から広がっています。
たぶんこの方です。
http://homepage2.nifty.com/wamen-nouen/index.html

by: mitsubako : May 13, 2005 10:58 AM

>mitsubakoさん
棉の件、恐縮です。
しかし紡ぎ繋がりのもとが「たぶん」ってところがネットらしくていいですね。

ところで稲の方はとりあえずプランタとは別にバケツバージョンも作って水ひたひたと言いますか、水が抜けていかないバージョンも一つ試してみました。さてどうなるやら??

by: m-louis : May 14, 2005 04:37 PM

ちょっと風邪をひいたりでなかなか、ブログやら、サイトの方が進められていませんが、まあ焦らずに書こうと思ってます。ところで、2度目の発芽の稲もだめでした。今年は多分5月も結構低温続きで、発芽まではすぐするのですが、カビてしまいます。2本しか伸びそうなのがないんです。悲しいなぁ。で、稲はM類さんのを待つとして、棉や茶豆が発芽したので、こちらを今年は育ててみます。昨年の食べ種の枇杷も檸檬も夏みかんも、そろそろ移植をしないとなんです。新芽が出て来て、チビの木なのに、しっかりと大木と同じように変化をするので、まるで盆栽見てる感じです。
バケツバージョン楽しみです!

by: mitsubako : May 16, 2005 10:21 AM

>mitsubakoさん
稲枯れですが、どうやら問題はプランターもしくはバケツに土&肥料をセットしたその日に植えてしまってたことにあったようです。今回、バケツとプランター同時に植えたのですが、水たっぷりのバケツだけがまた同じように枯れて、植え直しをしたプランターの苗は緑を保ってます。たぶん真新しい土と肥料では苗には刺激が強すぎるんでしょうか?
あんなに早く枯れること自体ちょっと謎でしたので、おおよその原因は掴めたように思ってます。

by: m-louis : May 17, 2005 02:18 AM

昨年、私は肥料なしでやりました。たぶん、苗の頃は肥料はいらないように思います。水が山から流れてくるものを使用できる場合には、肥料もいらないんですよ。いいですよね。私はそういうサイクルのところを今度見に行こうと思っています。憧れの地ですね。
南部小麦順調です。実がねばねば油っこい!驚きです。

by: mitsubako : May 17, 2005 11:04 AM
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