川っぺりも川っぺりで開発の求められているスペースとは思えないので(おそらく景観重視での撤去ではないかと思われる←実際は不法占拠による撤去)、今後そこがどうなるのかはわからないのだが、「ここもまた・・ 」という場所がまた一つ増えてしまったことは残念でならない。
谷中M類栖での紹介記事:
・SACRA THE BUSHOUSE (2009.04.10・定点観測記事)
・アクセスキーワード2007.04 (2007.04.30・環状線からの俯瞰画像)
・・と、この記事は撤去確認からほぼ半年後 に書いていて、実はその間にわきたさんのBlog版「環境社会学/地域社会論 琵琶湖畔発 」コメント欄でこの場所に関する今まで全く知らずにいた事実を ryotaさんという方から聞き知ることになった。
それはこの場所が朝鮮の済州島出身者たちによって「クッ」と言われる巫祭の行われる「龍王宮」という場所だったのだ。私はこれまでその場所を対岸から観察するばかりでなぜか踏み込んでみようとしたことがなかった。錆びたバスと古びた長屋が見えていて陋巷錆び好きとしては恰好の撮影ポイントではあったはずなのだが、なぜか私はそこが文字通り「彼岸」のように思えてしまって、近所にもかかわらず今ひとつ踏み込もうという気持ちにはなれなかったのだ(ちなみに私は済州島に行ったことはないが、済州島のトルハルバン の石造にはなぜか無性に惹かれるところがあり、韓国土産では必ずオレンジ味のトルハルバンチョコレートを買って帰る)。
2011年1月29日にこりあんコミュニティ研究会 +コリアン・マイノリティ研究会 主催で『龍王宮の記憶(仮)』(監督・撮影:金稔万 、2011年)が上映されたようで、その情報には上映後に気づいたので観られなかったのが残念でならないが、また上映機会の情報を見つけたときにはこのブログでも案内したい(1月29日の報告 )。
龍王宮については検索すると色々出てくるが、「龍王宮とは?」というこりあんコミュニティ研究会+コリアン・マイノリティ研究会が作成したと思われるテクストが各所で転載されているので、ここでも出典明示でリンクの上、転載させていただくこととする(問題ありましたらコメントにてご一報ください)。
こりあんコミュニティ研究会「最後の龍王宮祝祭 」より 【龍王宮とは?】
©高 仁鳳 氏撮影(1963年) JR環状線「桜ノ宮駅」西側の鉄橋の下、大川(旧淀川)の河川敷に戦前(解放前)から続く、済州島(チェヂュド)出身の在日1世の女たちの祈り「クッ」の場「龍王宮」があります。河川敷を管理する大阪府からは「不法占拠」であるとして、これまで再三立ち退きを言われてきました。しかし、そこは大阪を下から支えてきた在日朝鮮人のコミュニティが息づく場であり、龍王宮の水辺がふるさとの済州島につながっていると考えられています。済州島出身の女たちは、ここで祈り、泣き、笑い、そして癒されてきました。多文化都市としての大阪の底辺を支えてきたもう一つの無形文化財・文化資源とも言えるでしょう。私たちは昨年3月以来、「龍王宮の記憶を残すためのプロジェクト」をたちあげ、関係者へのインタビューや建物の実測や「クッ」の記録などを行ってきました。昨年8月22日には、「龍王宮祝祭—もうひとつの水都大阪2009—」を開催し、100名以上の参加を得て、その存在を広く伝えました。
この1年間、国内外から数多くの人々が龍王宮を見学しました。また、先月、こりあんコミュニティ研究会は『コリアンコミュニティ研究』創刊号(800円+送料)を発刊し、特集「マイノリティ空間の記憶をどう伝えるか」で龍王宮を扱いました。先日のフィールドワークでは、近くに暮らす住民の証言から、龍王宮のプレハブの建物は国鉄時代の飯場(工事労働者の仮宿泊施設)を建設業者から払い下げられたものであることが新たにわかりました。これを龍王宮が祈りの場に転用していたわけです。しかし、龍王宮は「韓国併合」100年の今年、残念ながらその歴史に終止符を打ち、近々立ち退くことになりました。今回、龍王宮を管理してきた高田商店の協力のもと、緊急に「最後の龍王宮祝祭—もうひとつの水都大阪2010—」を企画しました。充分な準備はできないものの、「龍王宮」に来たことのある人もない人も、形があるうちにぜひお越しください。当日は天神祭の奉納花火の日に当たります。龍王宮からの眺めは最高です。
また、私たちは今後も引きづづき、龍王宮での祈り「クッ」にかかわった神房(シンバン)・菩薩(ポサル)・僧任(スニム)・利用者・関係者への聞き取りや資料収集、龍王宮の記憶を残していくための調査研究活動をしていく予定です。
尚、この情報はコネクタテレビ という映像番組のサイトで私が関わった「張智恵が舞う韓国伝統舞踊 」というインタビュー映像をわきたさんにご紹介いただき、そのおかげで「SACRA THE BUS HOUSE」が「龍王宮」へと導かれたと言える。同インタビューのことも改めてこのブログで触れる機会を作りたいと考えている。
参考サイト:
・MINDAN:退去迫られる在日祈りの場「桜ノ宮龍王宮」 (龍王宮内の写真あり)
・ソウル・ヨガ:桜ノ宮「龍王宮」にいってきた (撤去直前の画像数点)
・仏教と仏教美術の日々:桜ノ宮・龍王宮が存続の危機に陥ってるらしい (鋭い考察)
・日々。生きる現代文学:龍王宮 (闘う詩人、上田假奈代さんのブログ)
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