2006年09月17日 (日)

クリエイターズ−神工時代の教え子

teachers '神工'

家作りその他つれづれなく「クリエイターズ/世田谷美術館にて」で『クリエイターズ - 長大作/細谷巖/矢吹申彦』という企画展が世田谷美術館で行われているということを知った。期間は9月24日(日) までで残念ながら私は行けそうにないが、実家にはこの情報を伝え、時間をつくることができるならば観に行くようにと話しておいた。

というのも、この3人のクリエイターのうちの一人、細谷巖氏は私の祖父・丸井金猊が神奈川工業高校工芸図案科(のち工芸デザイン科)の教鞭を取っていたときの教え子であり、また1997年に『丸井金猊とその周辺の人たち展』という展示をしたときには出品協力をお願いし、祖父へのメッセージもいただいているのだ。正直ここで「教え子」だなんて書くこと自体も烏滸がましい存在なのだが、当時の私は怖いもの知らずもいいところで、神工出身の名だたるデザイナーたちに無理難題な協力をお願いしていたのである。今思えばデザインの「デ」の字も知らない分際で、超一流のデザイナーたちによくもあんな無粋なチラシや発行物を平然と送っていたものである(汗)

細谷巖氏に関しては世田美の企画展プロフィールを読んでもらえればと思ったのだが、どうも世田美のサイトは期間が終わると次の企画展情報に切り替わってしまって、過去の企画展は概要のみしか記されなくなるようなので、以下に引用しておくことにした。

世田谷美術館・企画展『クリエイターズ』──細谷巖  日本で最初の広告制作会社である「ライトパブリシテイ」に高校卒業後、入社。現在に至るまで、独立せず、テレビCMではなく紙媒体を基本に広告制作を続ける。1955年日宣美展にて特選を受賞し、以降、田中一光、和田誠らと日本のグラフィックデザインの隆盛期を築いた。1975年よりキユーピーマヨネーズの雑誌広告、新聞広告等を手掛ける。写真、コピー、ロゴマークのみで構成するシンプルな作品は、時が経っても新鮮さを失わないものとなっており、ストレートな広告が長く力を持つことを再認識させる。

finziさんも書かれていたように、細谷さんの作品をご覧になると「ああ、あれもこれもみんなそうなんだ〜」ときっと多くの人が思われることだろう。記憶の片隅からほじくり出してくるというよりは、記憶の中心にどーんと座って一端を見せればすぐに蘇ってくるという感じの作品なのだ。気になる方は「タイムトンネルシリーズVol.19 タイムトンネル:細谷巖アートディレクション 1954→」のページを参照されるとよいだろう。

当時、細谷巖氏にいただいたメッセージはできればここで紹介したいところだが、本人確認が必要と思われるのでこの場では控えることにした。短い文章ではあるものの、祖父から正倉院御物の宝石箱の真珠にからめられた唐草の模写を課題に出されたときのエピソードなども書かれている。当時作った冊子の残部はまだ少々あるので、ご希望される方は谷中芸工展開催時の「谷中M類栖/1f」会場でお申し出ください。

尚、右の書籍写真は2004年10月に白水社から出版された『細谷巖のデザインロード69』という伝風半生記で、神工時代に思い出に祖父の名前も見つけることができる。

by m-louis : 2006.09.17 14:12
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2006年09月23日 22:17
クリエイターズ/世田谷美術館にて
excerpt: 9日の土曜日、砧公園の中にある世田谷美術館に行きました。 世田谷美術館は今年開館20周年。その地道な活動にふさわしい今回の企画展は、 「クリエイターズ...
weblog: 家作りその他つれづれなく
comment

TBありがとうございます。
細谷さんよおじいさまの話、具体的によくわかりました。「つながり」とかっていうレベルではないですね。すごい。

本文にも書かれているように、細谷さんの作品は「記憶の中心にどーんと座って一端を見せればすぐに蘇ってくるという感じの作品なのだ。」というのは、まさにそのとおりです。
圧倒されましたよ。

by finzi : 2006.09.23 22:10

>finziさん
TBレスありがとうございます(削除しておきました)。
細谷さんのデザインって、それはデザインとしては良いことなのか悪いことなのかわからないんですが、ある重みのようなものがありますね。それが記憶の中心にどーんと座ってしまうんだと思います。
ちなみに祖父とのつながりですが、『細谷巖のデザインロード69』によれば細谷さんが影響を大きく受けられてたのは別の先生だと書かれてました(^^;)
しかし、神奈川工業高校の卒業生はホントにスゴイ面子揃えてるんですよ。

by m-louis : 2006.09.24 00:50









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