2006年03月04日 (土)

軍艦アパート

Warship Apartment SE

flickr で sympathyさんのアップされた「大阪 軍艦アパート」の写真でミナミの下寺町(日本橋の東側)に軍艦アパートなる物凄い雰囲気のアパートがあることを知った。
聞くところによれば昭和の初め(昭和6年)に建てられた現存する日本最古の鉄筋公営住宅なのだそうな。ところがそのアパートがこれまた今年度中に取り壊されるという、何だか最近そんな話ばかりで気持ちも凹むが、住民たちは2月末までで退去し、3月から解体工事が始まるまでの間、アパート内に立ち入ることも可能という情報を耳にしたので、私も2/27(月)、3/4(土) と2回に渡ってカメラを持って出掛けてきた。

実際、現地に着くと何人ものカメラマン(年齢層は20〜30代と60〜70代が多かった)が至るところで撮影しているので、何の気兼ねもなくアパート内に入って行くことができた。そして確かにそこはディテールの宝庫だった。いや、ディテールと言ってしまうと語弊があるのだが、全体像を掴もうとしても取り上げるべき要素が多過ぎて、どうにもディテールにおいてしかその空間の質を追うことができない、そんな過剰な場所だった(それは写真を撮ろうとすると余計に自覚させられることでもあった)。

そんなわけでこのエントリーでは asahi.com で紹介された記事の転載をするに留めて(転載理由はこの記事自体がいずれ削除される可能性があるためで、情報の盗用を目的としたものではなく、むしろ記事への敬意を表してのものであることを明記しておく)今後はディテール写真を随時ピックアップしながら、細かく何らかのコメントを残していこうと考えている。なお、冒頭の写真は flickr のコメントでもニセモノと疑われているように、どこか現実離れした感のある写真に仕上がっているように見えるが、必ずしもそれは D50 の威力にもたれ掛かったものというわけでもなく、現にこのような空と雲の下、不思議な高揚に包まれながら撮影していたのである。

【写真】2006.02.27 18:27 大阪市浪速区下寺町・軍艦アパート南東棟にて

軍艦アパート関連リンク ←随時追加していく予定
・flickr: Gunkan.
・ギャラリー・アビィ: グループ展「ぐんかんびより」(2006.05.09-14・出展者募集中)
・mixi コミュニティ: 軍艦アパート
・sympathy.blog.ocn.ne.jp: 軍艦アパート ギャラリー
・団地百景: 市営下寺住宅(2001.09.23)
・ナニワの帝王: 軍艦アパート2001(2001.11.07)
・関西今昔建築散歩: 軍艦アパート(2004.12.27)
・研究会OJMM: 軍艦アパートのアイシカタ。(2005)
・ALL-A: 市営 下寺住宅(2005.05.29)
・ALL-A: 市営 下寺住宅02(2005.10.30)
・スミゴルフのつぶやき: 観光アテンド(2006.01.16)
・sympathy: 軍艦アパート(大阪市営下寺町アパート)(2006.01.18)
・sympathy: 軍艦アパート&九龍城の・・・俯瞰(2006.01.19)
・関西今昔建築散歩: 軍艦アパート配置図(2006.02.02)
・関西今昔建築散歩: 軍艦アパートに住む猫(2006.02.10)
・関西今昔建築散歩: 中華飯店太平での食事(2006.02.20)
・sympathy: 大阪軍艦アパート(2006.02.21)
・sympathy: 軍艦アパート 写真一部UP(2006.02.23)
・環境社会学/地域社会論 琵琶湖畔発: 軍艦アパート(2006.02.25)
・読売テレビ*ニューススクランブル: 軍艦アパートの勇姿を(2006.03.02・Windows Media Player)
・環境社会学/地域社会論 琵琶湖畔発: 軍艦アパート(その2)(2006.03.08)
・環境社会学/地域社会論 琵琶湖畔発: 軍艦アパート(その3)(2006.03.10)
・環境社会学/地域社会論 琵琶湖畔発: 軍艦アパート(その4)お知らせ(2006.03.13)
・のりみ通信: 軍艦アパートの桜(2006.03.22)
・moopee: 帰郷〜1日目

asahi.com「さらば軍艦アパート 築75年の鉄筋公営住宅、取り壊しへ築75年、独特の外観から「軍艦アパート」の異名で知られる大阪市営の「下寺住宅」(大阪市浪速区)が、06年度中に取り壊されることになった。2月末までに住民全員が引っ越す。大阪市によると、現存する最古の鉄筋公営住宅。建設当時、最先端を誇ったが、老朽化には勝てず、ナニワの人情を育んだ「昭和の面影」がまたひとつ姿を消す。

 下寺住宅は1931(昭和6)年、満州事変が起きた年に完成した。大阪市が30年代に、浪速区内につくった三つの近代的アパート群のひとつで、屋上に並んだかまど用の煙突から煙が立ち上る姿から、いずれも「軍艦アパート」と呼ばれた。下寺以外の、南日東、北日東住宅は01、02年に相次いで壊され、最後に残ったのが下寺住宅だった。

 下寺住宅は約7100平方メートルの敷地に鉄筋3階建ての8棟が立つ。水洗トイレや上層階からごみを捨てるダストシュートが完備され、建設当時の大阪朝日新聞は「堂々たるモダニズム」と報じた。

 間取りは4.5畳と3畳の居間に台所、トイレを加えた「2K」タイプ(約30平方メートル)が多く、風呂はない。現在の家賃は1カ月200〜300円台。木材やトタンを使い、ベランダに1、2畳の部屋を増築している世帯が多い。「出家(でや)」と呼ばれ、子どもが増えて手狭になった家庭の工夫だ。

 45年の大阪大空襲でも焼失を免れたが、老朽化には勝てなかった。屋上の塗装ははげ、雨漏りがひどい。さびた給水管から水が漏れ、台所の壁の一部がはがれ落ちている部屋もある。

 下寺住宅に住む約190世帯(昨年12月末現在)は、区内の新築の14階建て市営住宅に移り住む。跡地の利用方法はまだ決まっていない。

 1月末、住み慣れた我が家を離れた本田美代子さん(73)が産声を上げたのも、ここ軍艦アパートだった。アパートの1階で駄菓子屋を営んでいた実家は、近所の子どもたちでいつもにぎやかだった。37歳で近所の幼なじみだった末治さん(74)と結婚し、別棟に移った。

 「ご近所とは困ったことがあったら助け合える心やすさと人情があった」と美代子さん。「古くなった壁にも生活のにおいや温かさが染み込んでいる。寂しいですわ」

 下寺住宅自治会長の佐々木利秋さん(73)もここで生まれ育った。8人きょうだいの次男。「戦前や戦争直後はたくさんの子どもが住んでいた。路地を走り回ったり笑い声が聞こえたり、それは活気があった」と、当時を懐かしむ。

 大阪市は取り壊し前に学術調査に入り、棟の配置や部屋の間取りなどを図面や写真で記録保存することにしている。

 戦前からの鉄筋の集合住宅としては東京・表参道の顔として親しまれてきた同潤会青山アパートが有名。下寺住宅より4年早い27年に完成したが、03年8月に取り壊され、今月、「表参道ヒルズ」に生まれ変わった。海底炭坑の廃虚が残る長崎市沖の端島(通称・軍艦島)の高層集合住宅(16年完成)は、閉山した無人島に今も残る。地元では世界遺産登録を目指す動きもある。

by m-louis : 2006.03.04 14:15
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excerpt: 長崎の軍艦島の集合住宅、東京の同潤会アパートと並んで、日本でもっとも古い鉄筋コン
weblog: 余は如何にして道楽達人になりしか
comment

どこでもお世話になりっぱなしですね。ありがとうございます!
今回こそコメント残そう!と意気込んでまいりました。
(前回は551が上手くできなかったようで・・・汗)

私も同じような問題・課題、その他もろもろ抱えて帰ってきました。
なんでココまで考えるの?と自分でも思いますが、実際に足を踏み入れたモノにしか解らない独特の雰囲気があると思います。
近現代のモノは行政側からすると歴史的価値が低いようですが、老朽化による解体とは、あまりにも早すぎる解決方法のような気がしました。
つい先日まで生活されていたので あと数年はギャラリーやショップとして新しい活用方法があると思ったのですが。。。やっぱり無理でしょうか(汗
写真を撮るときに心がけたのが、「寂しくないように」「生活感」「昭和の匂い」だったんですが、難しいですね(^^) 
この写真は近未来的な写真で私は好きですが。
カッコイイし寂しそうじゃないのがいいと思いました!!

by シンパ : 2006.03.11 22:11

>シンパさん
スパム対策、わかりづらかったようでスミマセン。
次に来阪されることありましたら是非お土産には蓬莱の豚マンを(^^;)
http://www.551horai.co.jp/

解体問題に関してはもう日本全国至るところで起きてる話ですが、私が阪急コンコースに関してやったように人々の記憶と客観的な記録を同時に集積しておける場所をそれぞれにおいて作っていくべきと思います。今回の軍艦アパートに関しても何らかの形でそういうものがあった方がいいと思うのですが。。

ところでシンパさんが写真撮られるときに心がけられたことというのをお聞きして、私は自分の実家の解体のことを思い出していました。本当に解体が間近となったときに感じたのは「家が泣いている」という感覚でした。思えばそのときの空もこの写真でアップしたような空だった気がします。

by m-louis : 2006.03.12 01:17

isadoさんのところで紹介してくださったムービー、見てきました。見られてよかった!――というか、音を聞けたのがよかったです。ドアを開けるところとか、雨のシーンとか。音があると、写真とは違う、ベタなリアルが感じられるというのかな。
珍しいかまども見られたし! 面白かったです。ご紹介ありがとうございました^^

by ya ma : 2006.03.12 01:48

さすが!行かれたんですね。。
その新聞記事を目にして、行きたいって思っているものの、
行けずにいます。
m-louisさんの写真を見て、やっぱり近いうちに行こうかと思いました。

by neko : 2006.03.12 11:27

>ya maさん
あのムービーはシンパさんがミクシィで作られた「軍艦アパート」コミュで仕入れた情報なのでした。えらい画像が白く飛んでる感じはありましたが、それでも動画で見るとまた全然違いますよね。

>nekoさん
恥ずかしながら、私は全く軍艦アパートの存在自体を知らなかったんですが、最初にコメントされてるシンパさんのおかげで見ておくことができました。flickr やっててよかったと言いますか、、こういう情報ってよほどアンテナ張ってないと見過ごしちゃいますからね。

でも、行かれるなら早いうちがいいと思いますよ。日々立ち入りづらい状況となりつつあるようです。

by m-louis : 2006.03.12 22:37

>nekoさん
先の「軍艦アパート」コミュ新情報によれば、フェンスで囲まれてもう中には入れなくなってしまったとのこと。
これからだと見られるのは外回りのみということのようですね。残念!
本文後記でもリンク張ってますが、以下で建物内の動画が見られます。
http://www.ytv.co.jp/ns/special/bn/2006/02/060227.html#04

by m-louis : 2006.03.13 00:20

m-louisさん、トラックバックありがとうございました。
皆さんのコメントを拝見していると、フェンスで囲ってしまったようですね。
私が見学したとき、すでにその準備が始まっていたように思います。
さっそく、こちらで紹介されている動画を拝見することにいたします。

by わきた・けんいち : 2006.03.13 15:02

>わきた・けんいちさん
早速のコメントありがとうございます。
私も3/4以降は見に行ってないのですが、もう入れなくなったというのがネット上での専らの噂です。私個人としてはもっと早くにその存在を知っておきたかったという感じなのですが。。

なお、わきたさんのところのコメントで動画の URL 書いたところ、途中でリンク切れのような感じになってしまいましたので、クリックして直接見られる場合はこちらでご覧になられた方がよろしいかと思います。

by m-louis : 2006.03.13 15:21

コンコースの事ですが 今頃調べてきました。スイマセン。
確かに梅田?で工事があってるな〜と思いながら 目隠しのシートの間から見える柱や絵が素晴らしいなと 相方と立ち止まってしばらく眺めました。写真撮りましたが、暗くてボヤけたのでどこにも出してません(汗)。
そうだったんですか〜〜〜!!!

なんでこうも貴重なものが次々と消えていくのか、と 毎日そんな事考えてます。かといって叫ぶばかりで何も出来ない自分もどうかと思いますが(汗)。

by シンパ : 2006.03.13 20:17

ああ、素晴らしい写真ですね。動画も凄いです。でももう実物は外からしか見られませんか。。。残念です。

by neon : 2006.03.14 21:17

>シンパさん
目隠しのシートの間からまだ絵は見られましたか!
それはある意味ラッキーだったかもしれません。現在それはもう完全に見えなくなってしまいました。というか、剥ぎ落とされてる可能性大です。

しかし、こうした近代建築の次々に起こる立て替えについては、一番理由として言われやすいのが「耐震基準を満たしていない」というセリフです。これ言われちゃうと素人はどうにも言えなくなっちゃうんですが、近々それに抗するエントリーはしてみるつもりでいます。姉歯元建築士の一件もこの状況を助長しちゃうんだろうなと思ってます。

>neonさん
そうですね。あと一月こちらに来られるご予定が早ければ、、という感じでした。
本文でも書いてますが、どうもこの空間は私の許容量を遙かに越えてる感じで、カメラを持ってても為す術なしって風でしたね。

by m-louis : 2006.03.15 04:22

今日行ってきました!日本橋駅から歩いたんですが、相当距離がありますね。結構迷いました(^^;)おもいっきり通り過ぎちゃってあわてて戻ったりして。私以外にもカメラマンが2〜3人いましたよ。

m-louisさんがおっしゃったとおり、もう柵がしてあって中には入れなかったのですが、外回りからもそのスゴサは十分楽しめました。なんか廃墟マニアになりそう…(^^;)北側の端のほうに1本桜の若木が満開に咲いていて、軍艦アパートとのコントラストが実におもしろい表情をみせていました。しかし、敷地内にあるということもこの美しい桜も切り倒される運命にあるのか…そう思うとちょっと感傷的に。

by のりみ : 2006.03.15 19:35

>のりみさん
もう少し早い時点でのりみさんにもお伝えしておくべきでしたね。
なんか諸々重なってタイミング悪かったと言いますか、、それと最寄り駅は日本橋で下車するよりも恵美須町の方が近かったんじゃないかと思います。私が日本橋と書いてたのはあくまで駅ではなく、電気街一帯を差して書いたつもりでした(誤解させやすかったかも?)。

軍艦アパートは外回りからだけだとなかなかそれを感じるのは難しいかもしれないけど、やはり廃墟と捉えるよりも生活空間として捉えて見た方が俄然面白いかと思います。私は住宅建築を経験してから廃墟趣味というのが自分の中からまるっきり抜け落ちてしまってることを日々感じるのですが、それは古代の遺跡であっても生活空間や人の動線軸をベースに見た方が全然リアルに面白く思えるようになったからです。

と偉そうなこと抜かしながらも北側の一本桜って記憶にない(^^;)
まあ、10日前なので咲いてなかったんでしょうけど、でも、どこにあったかな〜。

by m-louis : 2006.03.16 04:43

遅まきながら私も軍艦アパートの記事アップしたんで、トラバさせていただきました。m-louisさんが気になっている一本桜の写真アップしました♪

恵比寿町駅からのほうが近いことはわかっていたんですが、北浜から乗ると日本橋駅で降りるほうが30円安いことがわかったので、たった30円節約のために歩いたんです(^^;)でも途中でフィルムが足りなくなり近くのコンビにに寄って1本740円もするフィルムを買ったりと本末転倒なことをしてしまいました。

by のりみ : 2006.03.20 23:24

>のりみさん
そういえば私の父も最寄り駅の根津で降りるとやはり数十円高くつくからと一つ前の湯島で降りて、そこから家まで歩いて帰る途中に疲れて喫茶店に寄って結局高くついてしまったというようなことを言っておりました(笑)

しかし、恵美須町界隈だったらフィルムもさぞかし安いの売ってたでしょうね〜。

by m-louis : 2006.03.21 02:25

本日、拙ブログで「団地」をとりあげました。そこでご紹介させていただいた、『ALL-A 』の管理人 tksさんが、軍艦アパートについて取り上げていらっしゃいました。http://blog.all-a.net/?eid=278528 tksさんのほうでも、リストをつくっておられました。

by わきた・けんいち : 2006.04.28 23:03

>わきた・けんいちさん
『ALL-A 』はこちらも見逃してまして、早速リンクリストに追加しました。
貴重な情報、ありがとうございます。それと団地百景、面白いですね!

by m-louis : 2006.04.29 02:42









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