この近くには宮脇書店と100円ショップのダイソーがあるので、それなりに足を向ける場所ではあるものの、ふだんはチャリで行ってしまっているので、大通りからなかなか一歩踏み込む機会を持てずにいた。私道なのか公道なのか見分けづらいくらいに細くて狭い路地なので、住民でもないのにチャリで入るのは気が引けるというのもあった。
この日の私はたまたま大川べりを散歩していて、都島橋下の行き止まりで都島通に出る最短距離を取らず、一つ手前の路地から大通りに出てみよう、そう思って踏み込んでみたら、それが樋之口町内をジグザグに抜ける陋巷だったのである。「陋巷」とは neonさんのブログ「N的画譚」のタイトル下説明文で初めて知った言葉だったのだが、この場所はまさに「陋巷」だと思える場所だった。その意味は敢えて記す気はないので、ご存知ない方は辞書などで調べられるとよいだろう。
ちなみに冒頭のタイルの剥げ落ちたブロック塀を写した写真は必ずしもこの場所を表象するものではない。多彩な表情を持つ陋巷の一場面を写したに過ぎないが、ただ、私がこの塀の前を通ったときに感じたのは9年前にインドを一人旅したときにトランジットで寄ったソウルの安宿街の路地の記憶だった。タイル張りという共通点は持たないが、路地を撮った写真も残していたので、参考までに一枚スキャンしてアップしておく。
【写真上】2006.02.10 15:41 大阪市北区樋之口町の路地にて
【写真下】1997.12.16 韓国ソウル市鍾路(チョンノ)北側の路地にて
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